昨年亡くなった作家、吉村昭さんに「休暇」という小編がある。新婚旅行の特別休暇を取るために、死刑執行の補佐役を買って出る刑務官の、心の揺れを描いている。
去年去世的作家吉村昭先生有个短篇小说《休假》。它描写为了取得新婚旅行的特别休假而主动承担死刑执行辅佐职位的刑务官动摇的心理。
買って出る……(多用于别人不愿意干的事情)主动承担(某事)
刑務官は、絞首刑でつり下がった(垂)囚人を脇で支える役を引き受け、代償に休暇をもらう。だが執行時の生々しい記憶が旅先にまでついてまわる。国家の命令で人を殺す者の、心身の負担を、吉村さんは冷徹に凝視する。
刑务官接受支撑垂吊着的被执行绞刑的囚犯,其报偿是取得休假。但是,执行时一些模糊的记忆一直伴随到旅行之前。吉村先生用冷酷的目光凝视着听从国家命令而杀人的人的身心负担。
国内でこのところ、死刑判決が急増している。凶悪な事件が多いためか、厳罰を求める空気が社会に濃いといい、「死刑のハードルが低くなった」と感じる裁判官もいる。一方で執行は減る傾向にあり、獄中の死刑囚は100人に達する見通しだ。現場だけでなく、死刑を命じる法相の心の負担も、小さくないことをうかがわせる。
国家在这个时候,死刑判决也在激增。难道是因为凶恶的事情增多了?社会上充满了浓重的追求严刑的空气,也有裁判官觉得:“死刑的标准降低了。”另一方面,执行却呈减少的倾向,狱中的死刑犯快要达到100人。不仅仅是现场,判决死刑的法官也让笔者怀疑其心理负担也很大。
米ニューヨーク州で95年、警察官2人が射殺された事件を機に世論がうねり、死刑制度が復活した。その法律に、州知事は2人が生前に使っていた2本のペンで署名した。美談めいて伝わる逸話(逸话;逸闻;轶闻;逸事)は、死刑から報復感情を切り離すことの難しさを物語っている。
美国纽约在95年,以警察官2人被射杀为契机引起社会评论,死刑制度因此而复活了。州知事使用两人在生前使用的钢笔在法律文件上署名。作为美谈而传送的逸闻,也述说了通过死刑难以割除其复仇的感情。
フランスの文豪ユゴーは、「死刑台は様々な革命で転覆されていない唯一の建物だ」と述べた。その仏で先ごろ、死刑を禁じる条項が憲法に加えられた。「罰することと復讐(ふくしゅう)は違うのです」。ドビルパン首相が議会で語ると、大きな拍手がわいたそうだ。
法国的文豪雨果描述道:“死刑台在各种各样的革命中唯一没有被颠覆的建筑物。”因为那个法令,最近,在其宪法中增加了禁止死刑的条款。“处罚和复仇是两回事!”据说德维尔潘首相在议会如此发言的时候,场内掌声剧烈。
被害者の無念、遺族の悲しみ、世間の怒り、さらに社会正義……。それらの先兵として、人に、人を殺せと求める。それだけでも、死刑はむごい(残酷)刑に思われてならない。
被害者的遗憾,遗族的悲伤,世间的愤怒,以及社会的正义……那些人作为先驱者,向人要求杀人。即使如此,也不得不承认死刑是一种残酷的刑罚。