2、3日後、セイディは、マイルズの部屋から出てきて、ドアに鍵をかけている慣れぬ男性を見かけます。マイルズがどうかしたのか心配になって、彼女はその男性に近づき、部屋で何をしていたのか、マイルズはどこにいるのか質問します。
そして、その男性、アンディはマイルズの会社の友人で、マイルズの持ち物を置きに来たということがわかります。マイルズは前回のダイアログの事故に巻き込まれていたのです。実は、ニュースで伝えられていたタクシーは、ほかならぬマイルズが運転していたのです。ダイアログの最初でセイディが用いた表現、"I don't mean to be so forward,"は、あまりよく知らない人について、かなり立ち入った質問をしたいときにしばしば用いられます。今回は、セイディはアンディがその部屋で何をしていたのか知りたがっていますが、それは暗に彼女が彼を疑っているということです。要は"who the hell are you?"という質問を丁寧に尋ねるために、上記の表現を前置きして、問い掛ける方法としてちょっとだけ思いやりのある方法を選択しています。
不法侵入?
Sadie: すみません。こんにちは、私、セイディといいます。この廊下の向こうに住んでいるんですけど。
Andy: え~っと、こんにちは、セイディ。僕はアンディです。
Sadie: あの、アンディ、でしゃばるつもりはないんですけど、マイルズの部屋で何をなさってたんですか?つまり、彼は留守にしてるのかしら、それとも引っ越しちゃったとか?
Andy: えっ、知らなかったのかい?
Sadie: 何を?
Andy: マイルズは事故にあったんだ。先日、運転中に軽い心臓発作を起こしてね、彼の運転してたタクシーはフロント?ストリート?ブリッジの欄干に衝突したんだ。幸い、心臓発作以外の怪我はしなかったけど。
Sadie: まあ、たいへん!私…考えもしなかったわ。つまり、この間、テレビでその事故のニュースは見たけど、彼が当事者だなんて思わなかったの。それはお気の毒に。ひどい話ね。
Andy: まあ、そんなにひどくないよ。言ったとおり、大けがしたわけじゃないから。明日退院するんだ。僕は、タクシー操車場のロッカーから彼の持ち物を置きに来ただけなんだ。マイルズとは同僚でね。
Sadie: でも彼の心臓は…あの…彼、大丈夫なの?
Andy: それはまた別の話だろうね。今のところ心臓は大丈夫だけど、医者は、ムリをして病状が悪くなることを心配してる。会社の方は医療休暇を取ってるんだ。今回は大丈夫だろうけど、こんなことはこれが初めてじゃないんだ。彼はもっと気をつけなくちゃいけない…失礼だけど、君、彼とは親しいの?
Sadie: 私…親しいってわけじゃ…近所同士なの。その、友達のようなものね。廊下で会ったら、いつも話しかけるけど、一緒に遊びに行ったりとかはまったくしないわ。
Andy: ふうん。まあ、マイルズおやじとおしゃべりするのが嫌じゃなければ。彼、僕の知り合いのなかでも一番人なつこい人間だよ。とにかく、明日には退院だから、また気軽に訪ねてやってよ。働いたりできなくて、多分ちょっと寂しいだろうから。
Sadie: わかったわ。そうします。
Andy: よし、じゃあ、よろしくね。