悟空弟子:
その日は会議中だった。君の電話に出られなかった。会場には監視カメラがあって、話しは電話ではっきり言い尽くせないところもある。
取経の道のりを振り返ってみると、数え切れない困難と苦痛があった。君がいなかったら、師匠の私はとうに妖怪に呑み込まれてしまって肥料になっただろう。私はよく分かっている。君は思想のある、魅力的な人柄だ。今はひどい目にあっている。取経の過程で、君は確かに功績の面ではトップクラスだ、と。しかしこれはすでに過去形となっている。時代は変わりつつあり、能力だけでは物足りない。われわれも時代とともに前へ進まなきゃ。
四人の弟子のなか、白竜馬の親父は西海の竜王で、彼は実は「官僚の二代目」+「金持ちの二代目」だった。取経が終わって間もなく、東海常務副市長になった。この前、私を調査研究に招いてくれた。場面が盛大かつ広大で、この天宮政治副会長の私にはとても比べにならないものだった。八戒と悟浄は天からの下りで職務を担当して腕を磨きに来たのだ。官職は復旧しただけではなくて、昨日の常務委員会では全員の同意を得て、正式の局級の官僚になった。
君は岩石の隙間からの生まれで、背景、資源などがまったくなくて、自分の努力と勤勉を頼りにするほかない。八戒のことをないがしろにしてならなくて、出世や人付き合いの面でむしろ八戒に習いなさい。八戒は今は正に大海を自由自在に泳いでいる魚のようで、上層部とのかかわりも緊密的かつ濃厚的で、女性の官僚のなかでも影響力がなかなかよい。今回の優秀な若き幹部の推薦大会で、君は二票しか得られなかった。その中の一票は私が出したもので、もう一票は君自分からの投票だろう。八戒の得られた票数は遥かに多くて、嫦娥まで投票をしてあげたようだ。状況の変わりが速すぎて、師匠の私でさえ慣れない感じでいっぱいだ。ずっとおっとりしていた悟浄も流砂河で不動産屋をやってるそうで、別荘を月の上にまで建てている。現に七仙女と同棲する一方、何仙姑ともいちゃいちゃをしている。マイホームを何十軒も持っている。
悟空よ、ぜひぜひ上層部との付き合いを円滑に行かせて、大鬧天宮のマイナス影響を一掃にしなさい。君は花果山風景管理委員会の臨時管理に携わって3年も経っているが、師匠の私もいろいろと斡旋しているが、君が正職にならなかったのは何故だろう。その原因を深入りして分析しなくちゃなぁ。まず性格上の欠点を克服しなさい。いつまでも鵜の目鷹の目で人の弱点を見つめるのは、人さまには不快を引き起こす。また君の意地悪な猿の口ぶりもだ。見慣れないところを見ればすぐに言い出すのも正しなさい。
今の君はまだ独身で一人ぼっちでいて、君の事を圏外に排除しようとするヤツらは噂話をあっちこっちにばらしてこれは品行不正の問題だと言いまくる。家庭を立てない限り、業を立てることができない。師匠は白骨精がよい人柄だと思う。この前彼女は君は毛が多くて、正々堂々の男前だと褒めている。人様の過去に犯した過ちをぎっしり手に握らないで、本気で考えようよ。
昨日、私は女児国の女王から結婚を迫られた。早速式を挙げてやろうと思う。蜘蛛精ほどセクシーでもなくて、玉兎ほど清楚でもないが、その背後にある後押しが硬い。師匠の今後の上流への躍進には大いに役立てると思う。蜘蛛精と玉兎はそれでもよいのなら、紅顔で心の知れた知人にでもなろう。
話はこれぐらいにしよう。ちょっと言い過ぎたのかな。(1412字)
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