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ひろ子 :おじさん、私ね、来週、クラスで研究発表をする予定になっているんですけれど、心配なんです。
おじさん:ほう、研究発表をねえ。おもしろいじゃないか。何が心配なの。
ひろ子 :私は、人の前に立つと、どきどきしてきて、話そうと思うことが、うまく話せないので、それが心配なんです。
おじさん:でも、相手は、毎日一緒に勉強している友達や先生だろう。心配しなくてもいいと思うけれどな。
ひろ子 :ええ。友達と話し合ったり、先生の質問にちょっと答えるくらいなら平気なんですが、研究発表とか報告とか、まとまったことをひとりで長く話すのが、うまくできないんです。
おじさん:なるほど。ところで、ひろ子さんは、どんな発表をするの。
ひろ子 :ひよこの成長を観察しているので、それを発表するつもりです。
おじさん:ははあ、ひろ子さんは、動物が好きだし、よく鶏の世話をしているからね。それで、発表することはまとまっているの。
ひろ子 :ええ、だいたいまとまっているんですけれど……。
おじさん:だいたいか。ちょっと心細いね。人にわかるように話すには、話そうとすることを、一度きちんと書いてみるといいね。形式はどうでもいいから。そうすると、話すことが、ほんとうに自分のものになるよ。
ひろ子 :はい、書いてみます。
おじさん:それからね、聞かせるだけでなく、見せることも大事だよ。ひろ子さんは、ひよこの生活をスケッチしているだろう。
ひろ子 :スケッチも書いてありますし、成長の様子を調べた表や、目方を量ったグラフもあります。
おじさん:それ、それ。そのスケッチやグラフをみんなに見えるくらい大きく書いて、これはこうだ、ここはこうなっていると、むちでさしながら話をするんだね。ものによっては、事物や写真を見せるのもいい。そうすると、きっと、みんなよく聞くよ。それに、ひろ子さんも、らくに話せる。それから、さっき心配だと言っていた、どきどきするということね、少し取り越し苦労じゃないかな。初めちょっと恥ずかしくても、みんなの方をよく見て、はっきり、ゆっくり話していると、そのうちに、きっと落ち着いてくるよ。
ひろ子 :そうですか。それじゃ、用意してやってみます。
おじさん:やってごらん。思い切って一度やると、話す力もぐんと伸びるし、ひろ子さんの観察も、またずっと進んでいくよ。
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