お盆休み(ぼんやすみ)に帰ってきた者(もの)同士(どうし)は、お喋り(おしゃべり)をしております。
一人の男が、
「おれのところの主人(しゅじん)ほど、物覚え(ものおぼえ)の悪い主人はいないぞ。」
というと、ほかの男、
「はて、そりゃあなぜだい。」
「うん、いつもいる奉公人(ほうこうにん)の名前を、二度も三度も聞いても、まだ、覚えられねえそうで、紙に書きつけているのだ。」
すると、そばからほかの男が、
「お前のところの主人は、まだよいほうだぞ。おれんとこのだんなは、そんなどころのさわぎじゃねえな。自分の名前を忘れるそうで、板へ書いて、表(おもて)の門(もん)のところに、釘(くぎ)でぶっつけておくんだから……。」
中译文: 铭 牌
盂兰盆节休假回家的人们正在闲聊。
一个男人说:
“没有比我们那位主人记性更坏的主人啦!”
另一个男人问:
“哎,那是为什么呢?”
“告诉你啊,长期在他家干活的伙计的名字,他问了两三遍好象还记不住,于是就写在纸上。”
听了这话,旁边又有一个男人说道:
“你们主人还算好的呢?我们家的老爷,那就更厉害啦。好象是连自己的名字也记不住,于是就写在一块木板上,用钉子钉在大门口……。”