新参者と、何代も前から住んでいる人達とは、付き合いの重みが違って当然だ。
小さい集落では、自治会活動で何役も担当することもある。働き盛りの男性なら消防団にも入らないといけない。葬儀には手伝いに行く。結婚式には地区住民全員が出席して、400人を超えることもある。公民館の大掃除も……。早く溶け込みたいと気負って、これを最初からすべてこなそうとがんばる移住者がいるが、それは無理だ。地元の人がすべてやっているわけでではない。
まずは、できるところから始めれば良いのである。できないことは誠意を持って断ればいいし、やりたくなければ、それも正直に言えばいい。「(1)」とはいうか、「完全に従うところまでいかなくてもいい」というくらいの考えでいいではないか。
一方、私はあまり地域と関わらないつもりだという人もいるだろう。それはそれで一つの方法だ。( ② )、自分のやり方や考えを強引に押し通すのではなく、地元とうまく協調して、気持ちいい関係は築いておくべきだろう。「会った時に挨拶をする」などは社会の常識だが、ちょっとしたことができなくて悪いうわさが立ってしまうこともある。
地域の人と一線に画すと言っても、いつ、助けてもらわないといけないことが起こるかもしれないのだ。吹雪の日に車が吹きとどまりに嵌り、近所の農家の人にトラクターで引っ張ってもらい、ようやく脱出したという話をよく聞く。こういう事態が起こった場合、日頃からのつきあい次第で、助ける側の対応も違う。それが人情というものだ。
③人と人との付き合いの基本はどこでも同じ。
(西川栄明『40歳からの都会2田舎8の生活術』講談社+α新書より)
問1( ① )に入る言葉はどれか。
1 犬も歩けば棒にあたる
2 猿も木から落ちる
3 棚からぼたもち
4 郷に入っては郷に従え
問2( ② )に入る言葉はどれか。
1 ただし 2 その上 3 つまり 4 すると
問3 ③「人と人との付き合いの基本」とは何か。
1 新しい土地に溶け込むためには、何事にも参加することである。
2 挨拶などの最低限のことは必要である。
3 できることをこなしていき、すべてをこなす必要はない。
4 新しい土地の人とは付き合いをしない。