目の前には”形”と”動き”があり、そこに人は”色”を見る。”色”は人の(①)にあるのでは なくて、人の側にあるものなのだ。”色”とは、この地上で人が外界に対してもつ視覚的な対応の 仕方の一例であり、それは人の内側で起こる出来事の一例なのである。それに対し、”形”や”動 き”となると、そのあり方の把握は人の(②)でのことであるとはいえ、基本的には人の(③)で 起こっている出来事であるといえるだろう。
問(①)--(③)には、「内側」か「外側」が入る、その組み合わせとして最も適当な者を選びなさい
4①内側②外側③内側
(4)
ある言語が豊かさを獲とくするのは、ちいさな村落や島に、純粋に保存されることによってではなく、でくるだけ多くの異なる背景を持った人たちによってできるだけ多くの異なる場面で多様な目的のために用いられることによってである。そうでなければ、ことばは「 」。
問「この文章の」の部分にはどんな内容の表現をいれることができるか。
1獲とくされない
2用いられない
3純粋にならない
4豊かにならない
(5)
税に関する本を読んでも最近の世界の税制改革を調べても、望ましい税の条件としてまっさきにあげられているのが負担の公平です。「公平」とは、とりあえず、国民がそれならば負担してもよい、負担するのもやむをえないと考える税負担の決め方と理解しておいてください。それでは、なぜ公平なのか。納税が義務、つまり強制だからです。寄付のように自発的な負担なら負担の決め方が不公平だと思えば寄付を断ればよいのですしたがって公平だと思う人だけが頼みに応じて負担する寄付はつねに公平です。ところが強制的な税の場合はそうはいきません。負担の決め方が不公平だと思っても納税は拒否できないのです。
問「なぜ公平なのか」というのは別の表現で言うと、この場合、つぎのどれに近いか。
税負担が1なぜ公平になるのか
2なぜ公平だと言えるのか
3なぜ公平になりにくいのか
4なぜこうへいでなければならないのか
(6)
自然現象を説明する主な仕方に、万物を生き物になぞらえて説明するやり方とすべてを機械になぞらえて説明するやり方の二種類がある。前者を有機体論後者を機械論という。科学の発達を大ざっぱにいえば、昔は自然を、世界を生き物としてとらえる考え方が(①)が、近代、17世紀からとくに万物を機械論的自然観が定着し、そのなかから近代科学を生み出してきて今日にいたっている。動物や人間の身体も、機械のようにみなしてかなりうまく説明がつくのである。
しかし②むかしはそうではなかった。自然万物を生きとし生けるものとみなした。生き物の方が無機物よりずっと親近感があったからである。生きて活発に動く物の方が、鈍で動かないものよりずっと印象的だったからである。
問1この文章の(①)に入る適当なことばをえらびなさい。
1強かった2特別だった3不十分だった4めずらしかった
問2②「昔はそうではなかった」とあるが、どういうことか。
昔は1自然現象に関心をもたなかった。
2世界を生き物として考えなかった
3人間を機械とみなすことはなかった
4無機物については説明できなかった
解答与注释
問題Ⅰ 1-3 2-4 3-1 4-3 5-2 6-4 7-1 8-2
問題Ⅱ 1-2 2-1 3-2 4-4 5-3 6-1
問題Ⅲ 1-2 2-3 3-1 4-4 5-4 6-(1,3)
問5筆者が⑥「(老化指数)=(暦年齢)ー(当人が思っている年齢)と言う方程式が成り立つと考え たのは、なぜか。
1人によって体力のおとろえ方が異なるから
2老化が進むほど人は若いと思いたがるから
3ほとんどの老人が暦の年齢より若いから
4年齢相応の老け方を決められないから
問6(⑦)と(⑧)に入る組み合わせとして、最も適当な者を選びなさい
1⑦5 ⑧10
2⑦10 ⑧5
3⑦10 ⑧20
4⑦20 ⑧10
問7「老化指数」によると次のうち最も老化しているといえるのはどれか。
1自分が20歳だと思っている30歳
2自分が35歳だと思っている40歳
3自分が40歳だと思っている30歳
4自分が45歳だと思っている40歳
問8⑨「近ごろの若者」について、筆者が最も指摘したかったことは何か。
1精神的に幼児化している
2精神的に老け込んでいる
3若く見えるようになった
4老けて見えるようになった 問題Ⅱ 次の文章を読んで後の問いに答えなさい。答えは、1·2·3·4から最も適当なものを一 つ選びなさい。
重苦しいほど蒸し暑い晩だった。
空には星一つなく海は不気味に静まりかえっている。
わたしはいつものように後甲板の方へ歩いていった。後甲板には先客が一人いた。デッキの手すりにもたれ、その男はしきりに暗い海をのぞきこんでいる。
「今晩は」とわたしはこえをかけた。
振り返った男の顔は骸骨のように痩せ細っていた。眼が落ち窪み顔色がひどく青白い。
「今晩は」
男は低くしゃがれた声でそういうと、薄い唇をゆがめて笑った。
わたしは男の隣に歩み寄って同じように暗い海を見つめた海はいつでもわたしをもの哀しい気分にさせる。海の中にいる誰かが呼んでいるような
「いやな晩ですね」とわたしは言った。
①「そうですか」
男は骨ばった長い指で髪の毛をかきあげた。
「ぼくはこんな晩の方がすきなんですよ。なんとなく不気味で面白いじゃありませんか」
わたしは変わった男だなと思った。私が黙っていると·彼が問い掛けてきた。
「②この船に幽霊が出ると言う噂があるんですが、しっていますか」
「幽霊」
と私は聞き返した。
「ええ。やはりぼくたちみたいな客の一人が自殺したことがあるんだそうです。こんあふうに重苦しくて·風のない晩だったといいますよ。その男はしばらく海を眺めていて、ふいに飛び込んだんです。ちょうどここから、今、ぼくらがこうしているところからね」
男は私の顔をのぞきこむようにして·にやりと笑った。
「あがった死体は、右の腕がなかったそうです。スクリュウに切り取られたのかもしれませんね」
二人は暗い海にほの白く泡だっているスクリュウのあとをしばらくみつめた。
「それでその幽霊が出るんですね」
私の声は少し震えているような気がした。
「ええ、自分の失った右腕をさがしているのだという噂です。こういうふうにむしむしして、海が妙に静まり返った晩、③男が一人でその海を眺めてる。そしてしばらくするとふっと消えてしまうのです。」
男は自分自身をかき消すようなしぐさをした
「なぜ、その男が自殺したのか知っていますか。」
と私は訊いた。
「(④)、何の原因もないのです。金に困っているわけでもなく、失恋したわけでもなかった」
眉をひそめ男は遠いところを見る眼つきで海をみつめた。
「多分」といって男は口ごもった。
「多分、この海をみているうちに、なにもかもいやになったのでしょうね。そして、ひきずりこまれるように、飛び込んだのでしょう。ぼくには、その気持ちがわかるな。こうしていると、何もかも忘れて、この海の底でねむりたくなる。あなたは、そうおもいませんか」
私も海を見つめた。海は暗く静かにわたしを呼びかけているように思えた。
(注1)骸骨のように痩せ細かった:非常に痩せた
(注2)私を呼びかけている:通常は「私に呼びかけている」
ここまで読んで·次の問1から問4に答えなさい
問1①「そうですか」の意味に最もちかいものはどれか
1わたしもそう思います
2わたしはそう思いません
3わたしは夜が嫌いです
4わたしも夜が嫌いじゃありません
問2②「この船に幽霊が出ると言う噂」とあるが、この噂によると幽霊はどんな時に出るか。
1蒸し暑くて海の静かな晩
2もの哀しい気分にさせる晩
3海がほの白く泡立っている晩
4自殺したいと思っている客がいる晩
問3③「男が一人でその海を眺めている」とあるが、それは何のためか。
1自殺するため
2自分の右腕をさがすため
3幽霊が出るのを待つため
4海の中にいるだれかを呼ぶため
問4(④)に入る適当なことがを選びなさい
1それを 2それで 3それに 4それが
上の文章の後には、次の文章が続きます最後まで読んで下の問い5問い6に答えなさい。
「そうなのです」
ため息を吐きながら、私は言った。
「それで⑤あの晩私は飛び込んだのです。」
私の右腕がないのに男が気づいたのはその時だった。
問5⑤「あの晩私は飛び込んだ」のは、なぜか。
1借金と失恋で生きる希望をなくしたから
2自分の失った右腕を捜そうと思ったから
3すべてを忘れて海の底でねむりたくなったから
4海の中の幽霊に呼ばれたような気がしたから
問6次の「幽霊」についてのべたもののうち、正しい物を選びなさい
1「わたし」が幽霊だった
2甲板にいた男が幽霊だった
3甲板にいた男と「わたし」が幽霊だった
4幽霊はでてこなかった 問題Ⅲ 次の文章を読んで後の問いに答えなさい。答えは、1·2·3·4から最も適当なものを一 つ選びなさい。
(1)
言葉は時代と供に変わる。今の若い女性の仲には平気で男言葉で話す人も多い。男性が語尾に「よね」をつけて話したり女言葉にちかづいてもいる。男女の言葉の差は昔に比べれば格段に少なくなっている。今の時代の男女の生き方を象徴しているのでもあるだろう。そんな中で「男言葉」「女言葉」を守ろうと言うのではない。時代の流れに任せてもなお自然に残る言葉は残るのではないかと思うのだ。口に出す時ちょっとした抵抗感があるかないかという形で。その感覚を大切にしたい。それが日本語の中の文化であり味わいであるかもしれないと思うから。
問この文章で筆者はどのようなことを言おうとしていると考えられるか。
言葉の男女差は1将来残らないだろう
2今後もなくなってほしくない
3今日では、意識されていない
4しだいに大きくなっていくだろう
(2)
旅行に出かける理由はいろいろありますが一番の喜びは、旅先での解放感ではないでしょうか。 この解放感は、自分を知っている人が誰もいないと言う心理に起因します。つまり、自分が恥をかい たり、失敗したり、あるいは、破廉恥なことをしても、そのことで後後困ることは起こらないと思う からです。
旅先にいる私は家庭や職場のわたしではなくて、どこのだれかわからないような匿名性をもった、 一人の人間なのです。
このように自分を見つめることを忘れ、他人から批判される懸念も薄れ恥とか罪と科による自己規 制も弱まりいつもならしないような行動をとることを、没個性化現象といいます。こうした没個性 化は、大勢お見知らぬ人びとの中にいる時や群肖沃肖摔い霑r、自分が誰だか人にわからないような 時に現れます。
注1破廉恥なこと:道徳的にしてはならないこと
注2匿名:名前を隠すこと
注3懸念:心配
問「没個性化現象」は、どんな時に生じるか
1解放感が失われた時
2自己規制が強まった時
3匿名性が保たれている時
4批判される懸念が生じた時
(3)
言うまでもなく木々の葉の緑を見る時そのはには緑”色”という”物”がついているのではな い。ある一定の状態の光の中で、その葉を前にしてもつ視覚的な体験のある種のあり方を、ひとは 緑という”色”を見たと表現しているのである、