頭取の語源・由来
頭取は、雅楽で合奏する際に首席演奏する「音頭取り」の俗称で、特に、管楽器の首席演奏者のことをいった。
やがて、能や歌舞伎の「翁(おきな)」「三番叟(さんばそう)」で、小鼓を奏する三人のうち中央に座る主奏者も「頭取」と呼ぶようになり、「音頭を取る人」から「集団のかしら」に意味が派生し、劇場で楽屋を取り締まる者や、相撲で力士を取りまとめる人も「頭取」と呼ばれるようになった。
明治に入り、銀行の前身となる「為替会社」が設けられた際、出資者の代表を「頭取」と呼んだことから、銀行の代表者として業務執行に当たる人を「頭取」と呼ぶようになり、以降、「集団のかしら」の中でも特に銀行の代表者をいうようになった。
ただし、全ての銀行において「頭取」という肩書きが使われているわけではなく、信託銀行などでは「社長」の称が用いられている。