なごり
なごりとは、ある事柄が過ぎ去った後に、なおそれを思い出させる気配や余韻・影響。人との別れを惜しむ気持ち。去った人や亡くなった人を思い出すよすがとなるもの。故人の形見や子孫。残り。残余。物事の最後。名残り。
なごりの語源・由来
なごりを「名残」と書くのは当て字で、名前が残るという意味が語源ではない。
なごりは漢字で「余波」を当て、波が打ち寄せたあとに残る海水や海藻も意味するように、「なみのこり(波残り)」が短縮し変化して出来た言葉である。
そこから、余韻や影響など何かの事柄の後に残るものを「なごり」と言うようになった。
「なごり」が波によって残ったものではなく、ある事柄が過ぎたあとに残る余韻や影響を表すようになったのは、『万葉集』にもその例が見られることから、奈良時代以前と考えられる。
人との別れを惜しむ意味で「なごり」が用いられた例は平安時代以降に見られ、「名残惜し(い)」といった形容詞も、この頃から見られるようになる。