ほおずき
ほおずきとは、ナス科の多年草。夏に黄白色の花が咲く。その後、萼(がく)が大きくなって橙赤色に熟す。根は漢方で鎮咳薬や利尿薬とされる。ぬかずき。かがち。
ほおずきの語源・由来
ほおずきの歴史的仮名遣いは「ほほづき」で、語源は以下の通り諸説ある。
1.実が人の頬の紅色に似ていることから、「顔つき」や「目つき」などと同じ用法で「頬つき」から「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
2.ほおずきの果実から種子だけを取り除き、皮だけにしたものを口に入れて膨らまして鳴らす遊びがあることから、「ほほつき(頬突き)」から「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
3.「ホホ」というカメムシ類の虫がこの植物に集まってくることから、ホホがつく意味で「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
4.ほおずきの実が火のように赤いことから、「ほほつき(火火着)」から「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
5.ほおずきの方言は、全国的に「ふづき」が多いことから、陰暦七月の「ふづき・ふみづき(文月)」が「ほおずき(ほほづき)」になったとする説。
上記の説の中で、人の顔に見立てたとする「1」の説が有力である。
その理由として、ほおずきの別名には、「ぬかづき(ぬかずき)」や「かがち・あかがち(輝血)」があり、「ぬかづき」の「ぬか」は「額(ひたい)」のこと、「かがち・あかがち」を「輝血」と書くのは当て字で、「赤がち(「がち」は「病気がち」などと同じ「がち」)」を意味しており、顔に見立てている点や、「つき」と「がち」の用い方が似ているためである。
また、「2」の説は「頬突き」という意味が不明で、ほおずきは虫がつくことよりも色や膨らみが特徴的なので「3」の説も考え難い。
「5」の説にある「ふづき」の名は、東京浅草の浅草寺境内で四万六千日の縁日(7月9・10日)にホオズキを売る市「ほおずき市」が開かれることから呼ばれるようになったものである。
ほおずきの漢字には「酸漿」と「鬼灯」があり、「酸漿(さんしょう)」は漢方などで用いる漢字で、「鬼灯」は実が赤く怪しげな提灯の印象からである。
ほおずきの英名には「ground cherry」のほか、「提灯」を意味する「Chinese lantern」もあり、「鬼灯」の漢字に通じる命名である。