【モスクワ町田幸彦】ロシアと欧州連合(EU)の首脳会議が21日、モスクワで開かれ、双方はロシアの世界貿易機関(WTO)加盟の原則条件に関して合意する議定書に調印した。EUとの合意達成により、ロシアはWTO加盟実現に向け大きく前進した。25加盟国になったEU拡大後初の首脳会議で、プーチン大統領は「EUとは経済、安全保障、科学、文化の4分野で協力する共通領域を築き上げたい」と期待感を表明した。
ロシアのWTO加盟交渉では、EUがロシアに天然ガスの内外価格差の是正を求め、ロシアが段階的に格差解消を目指すことで譲歩する動きが出た。EU以外には、米国、中国、日本などとの交渉が残っている。ロシアは6月の主要国首脳会議(G8)で、WTO加盟の確認を獲得するつもりだ。
ロシアはWTO加盟合意をEUなどに地球温暖化防止のための京都議定書批准の見返りとする戦術をとってきた。しかし首脳会議開催直前に、ロシア側は「政府内部で意見が統一されていない」として議定書の協議を拒否した。
プーチン大統領は首脳会議で「ロシアとEUの対話は主従関係のようであってはならない」と語り、拡大EUの圧力に対してけん制した。EUのプロディ欧州委員長は「ロシアとEUはウォッカとキャビアのようなもの」と語り、友好関係を強調した。
毎日新聞 2004年5月21日 21時28分