「お会計のほう、1万円になります」「1000円からお預かりします」。最近、コンビニエンスストアなどでよく聞く、若者流の“丁寧語”を「気になる」と感じる人が急増していることが19日、文化庁の国語に関する世論調査でわかった。一方で、「流れにさおさす」など伝統的な慣用句の意味を勘違いしている人が多いこともわかった。
調査は昨年11―12月、全国の16歳以上の男女3000人を対象に行い、若者を中心に広がっている「~のほう」「~から」に、「休まさせていただく」といった“さ入れ表現”を加えた3種の丁寧表現について聞いた。「気になる」人はそれぞれ50・6%、45・2%、57・1%で、いずれも「気にならない」を上回った。1996年の調査では同じ質問に対し、3種とも「気にならない」人が60%前後で圧倒的多数だった。
今回も、10―30代では「気にならない」人が多かったが、40代以上で「気になる」人の増加が目立った。文化庁は「マスコミなどでこうした表現が話題になったことで、『そういえば変だな』と感じる機会が増えたのでは」と分析している。
一方、慣用句の意味を尋ねたところ、本来と違う意味にとらえている人が目立った。例えば、大勢に従う意味の「流れにさおさす」を、大勢に逆らう意味と誤ってとらえている人が63・6%。能力のわりに役目が軽いことを言う「役不足」も、役目が重いことと思っている人が62・8%を占めた。「確信犯」も、本来は「政治的、宗教的な信念から正しいと信じて行う行為、犯罪」だが、「悪いとわかっていながら行う行為、犯罪」とした人が57・6%もいた。
(読売新聞 2003年6月19日)