1级読解の練習(30)
予期に反して
「男のくせに泣くなよ」とか、「女のくせに料理もできない」というときの「くせに」という言葉はどういう意味で使われるのだろうか。「女のくせに泣くなよ」「男のくせに料理でもできない」とは普通はいわない。1
これは「くせに」というのが、一般的な通念や共通の了解事項に基づく「予期」に反していることを非難する言い方であり、この場合、「男は泣かないもの、泣くべきではない」「女は当然、料理ができるはず」という予期に反していることを非難する言い方だからだ。
そして、このような表現を使うことによって、「男は泣かないもの」「女は料理ができるもの」という共通了解や通念を聞き手にも意識させたり、また、無意識に浸透させる効果もある。「女のくせに…」と言われて(2)思いをしたことのある女性も多いに違いない。
次に、なぜ、「料理ができない」の「が」の代わりに「料理もできない」というふうに「も」が使われるのだろうか。
本来、「も」は「あなたがいくなら、私も行きます」のように、付け加えるという意味があるが、ここでは、「(ほかのこともできないかもしれないが、)当然できるはずの料理さえできない」という意味で、これも、一般的な通念から当然と思われる予期に反する意外性に驚きや非難の気持ちをこめる役割を果たしている。
「30人も来た」というと、30人は予期した数より多い数であることを意味し、意外な気持ちが表される。「この計画は来年にも実現するでしょう」といえば、「来年」という時期が(3)ということを示唆している。そして、「温泉に行ったけど、お湯が熱くて、1分も入っていられなかった」というと、1分というのは、話し手が期待していた時間よりずっと短かったという気持ちを伝えている。これらの場合の予期は個別的な了解に基づくわけだが、もしこの了解が聞き手に共有されていない場合は、このような「も」の使用によって、話し手の「予期した内容」が聞き手に理解され、共有されることになる。4
また、「しばらく会わないうちに、良子ちゃんも大人になたねえ」と言うと、…ことを意味している。5
問1 「女のくせに泣くなよ」「男のくせに料理もできない」とは普通はいわないのはなぜですか。
1、「女は泣かないもの」、「男は料理ができる」という通念に反するからです。
2、「女は泣いてもいい」、「男は料理ができなくてもいい」というのが通念だからです。
3、「女はなかないもの」、「男は料理ができる」というのが通念だからです。
4、「女は泣かないもの」、「男は料理ができなくてもいい」という通念に反するからです。
問2 括弧2のところに、最も適当な言葉を一つ選んでください。
1、いやらしい
2、かなしい
3、くやしい
4、さびしい
問3 括弧3のところに、最も適当な言葉を一つ選んでください。
1、予期したのより早い
2、予期したのより遅い
3、予期したとおり
4、予期したのとほぼ同じ
問4 下線4の文に対する理解として、次のどれが正しいですか。
1、聞き手も驚いてたり、感心したりするような気持ちになります。
2、聞き手が話し手の気持ちが分かり、驚いたり、感心したりしなくなります
3、話し手の個別的な気持ちが聞き手に共有されるようになります。
4、話し手の予期した内容が聞き手に伝わります。
問5 上の文章により、次のどれが、下線5「しばらく会わないうちに、良子ちゃんも大人になったねえ」について正しく理解していますか。
1、他の人も大人になったけど、良子ちゃんも大人になりました。
2、まだ子供だと思っていた良子ちゃんが、私の思い込みから生じていた予期に反して、いつのまにか、大人になっていました。
3、ずっと子供だと思っていた良子ちゃんがやっと大人になるのを喜びました
4、他の人も、良子ちゃんも、しばらく会わないうちに、皆大人になりました
1级読解の練習 26-29 答案
231121
2431214
2422
144344
2 3 1 4 2