1级読解の練習(6)
植物たちは、手探り状態の暗闇の中で、上と下を見分ける能力を持っている。たとえば、種子は、どんな向きに土に埋まったとしても、発芽した芽生えは、伸びる方向をまちがえない。発芽した芽生えは、茎を上に向かって伸ばし、根を下向きに伸ばす。地上部に、①芽のかわりに、根が出てくることはない。芽が下に向かって伸びる茎はない。
植物たちは、暗黒の中で上と下を、どのようにして知るのだろうか。植物たちは、重力を感じているのだ。重力というのは、地球上の物体が地球から受ける力であり、地球の中心に向かって引き寄せられる力である。
根の先端は、重力の方向に向かって伸びる性質がある。だから、地球の中心、すなわち、下に向かって伸びる。茎は、重力と反対方向に伸びる性質がある。だから、地球の中心と反対方向、すなわち、上に向かって伸びる。
この性質は、発芽したての芽生えだけにあるのではない。成長した植物を土中から抜き、横たえておくと、茎の先端はやがて上の方向に曲がり、逆に、根は下に曲がる。正確に言うと、根の先端は地球の( A )に向かって伸び、茎は地球の( B )に伸びる。
光は、上からやってくる。植物の茎は光のある方向に伸びることが、よく知られている。そのため、「植物を横たえておくと、茎の先端はやがて上の方向に曲がる」現象は、「茎の先端が、光の方向に伸びる」性質に支配されているように誤解されることが多い。
しかし、この現象は光の当たらない真っ暗闇の中でも見ることができる。真っ暗闇の中で、植物たちは、上と下を見分ける能カを持っているのだ。これは、植物たちが重力をきちんと感じているからである。(田中修『ふしぎの植物学』中公新書より)
問1 ①「芽のかわりに、根が出てくることはない」とあるが、どうしてか。
1 種子は重力に逆らわずにはいられないから
2 種子は芽と根をまちがえることがないから
3 植物は上と下を見分けることができるから
4 植物は上への伸びを余儀なくされているから
問2 植物を土の上に横たえておくとどうなるか。
1 根は地球の重力の方向に、茎は重力と反対方向に向かって伸びる。
2 根は地球の重力の反対方向に、茎は重力の方向に向かって伸びる。
3 根は光のある方向に、茎は光のない方向に向かって伸びる。
4 根も茎も、地球の重力や光の方向には全く関係なく伸びる。
問3 文中の( A )( B )に入る組み合わせはどれか。
1 A:中心B:重力の方向 2 A:中心 B:中心と反対方向
3 A:重カの方向 B:中心 4 A:中心と反対方向 B:中心
問4 植物の能力として、筆者の説明と合うものはどれか。
1 植物には光の方向に伸びる力があり、それによって上下を見分けることができる。
2 植物には地球の中心を感じる力があり、地中でも伸びる方向を間違えることはない。
3 植物が持つ上に向かって伸びる力は芽生えだけが持っている特別な力である。
4 植物は地球からの重カを感じる力と光の方向を知る力の二つのカを持っている
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