彫刻家の自負にあふれた名言がある。〈大理石の中に天使が見えたので、自由にしてやろうと彫り続けた〉。ミケランジェロの言葉という。ルネサンスの巨匠には、「ここから出して」という細い叫びが聞こえていたに違いない。
有一句满含雕刻家自负感的名言:“我在大理石中发现了天使,我不停地雕刻就是为了把她解放出来。”据说这是米开朗基罗说的话。这位文艺复兴的巨匠一定是听到天使从石头中传出来的“快把我放出来”的微弱叫喊。
天使を、機密に置き換えてみよう。国家や企業という巨石に閉じ込められた情報を自由にするには、ノミでコツコツやるまでもない。内側からの一撃で石は砕け、天使は飛び去る。そして戻らない。
我们把天使换成机密看看。要把关在称为国家或企业的巨石里的信息解放出来,并不需要用凿子一点一点地凿。只要从内部轻轻一敲,石头就应声碎裂,天使从里面飞出来,就一去不返了。
米国の外交公電が大量に流出し、内部告発サイト「ウィキリークス」によって世界にさらされ始めた。天使の乱舞である。韓国高官が「北朝鮮は総書記の死後2、3年で崩壊するだろう」と語ったことなどが暴露され、米政府は憤まんやるかたない。
美国的外交密电大量流出,通过内幕曝光网站“维基解密”开始暴露在全世界所有人面前。真是天使乱舞啊。像韩国高官说的“北朝鲜在总书记死后两三年就要瓦解。”这样的话都被暴露出来,真的让美国政府无比郁闷。
かたや、「仏大統領は裸の王様」「伊首相は軽率」といった人物評にさしたる意味はない。互いに気まずくなるだけのことだ。一外交官の一考察は、外交という「総合芸術」のひと筆、それも下書き程度のものだろう。
另一方面,像“法国总统是个裸体国王”、“意大利的首相为人轻率”等人物评价则没多大意思。只会让双方感觉不爽。某个外交官的一个观察,就是外交这门“综合艺术”的其中一笔,而且是打草稿时一笔而已。
問われるべきは、玉石の情報が乱雑に漏れ、瞬時に広がる現実である。このサイトが名をはせたのは、在イラク米軍による無差別殺傷の動画だった。広く正義に資するものは歓迎だが、世の中、解き放つべきエンゼルばかりではない。
应该关注的是,极为重要的信息被胡乱泄漏,瞬间传播出去这个事实。使这个网站名声鹊起的是一段驻伊美军的无区别杀伤的视频。有助伸张正义的东西是欢迎的,但这世上的并不全是应该得到解放的天使。
砕けた石から現れたのは、権力の非を暴く天使か、無法者を利する悪魔か。こうした流出が続くなら、真偽を含め、情報を冷静に見極める力がいよいよ求められる。メディアの真価が問われよう。無論、外から巨石をうがつ努力も怠れないと、肝に銘じたい。
从碎石中出现的,是暴露权力黑暗面的天使还是为无法无天之人打开方便之门的恶魔呢?如果这样的曝光持续出现,我们需要的是冷静判别信息,包括确认其真伪的能力。媒体的真正价值将会受到质疑。当然,我们也不能停止从外部把巨石凿穿的努力,这点让我们铭记于心。
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