一休 いっきゅうさん
(日本昔話)
この橋(はし) を渡(わた) るな―
すこし昔、一休さんという、とてもかしこい小僧(こぞう) さんがいました。
ある時、お侍(さむらい) が、「一休さんに、ご馳走(ちそう) をしたいのでおいでください。」と言ってきました。一休さんは、喜(よろこ) んでお侍の家に出かけていきました。
お侍の家の前には、橋がかかっていて、端(はし) に「この橋を渡るな。」と、書いた立(た) て札(ふだ) が立っていました。でも、一休さんは平気(へいき) な顔をして、橋を渡っていきました。
お侍が出てきて、「立て札を見なかった?」と、聞きました。すると、一休さんは、「見ましたとも。ですから、わたしは端(はし) ではなく、真(ま) ん中(なか) を渡ってきましたよ。」と答えました。
―虎(とら) を追(お) い出(だ) して―
一休さんが、えらいお殿様(とのさま) に呼(よ) ばれました。
お殿様は、一休さんがどのくらいかしこいか、試(ため) してみようと思ったのです。「一休よ、お前の後(うし)ろに立っている屏風(びょうぶ) に、虎の絵(え) が描(か) いてある。あの虎を縛(しば) ってみよ。」絵に描いてある虎を縛ることなんてできません。でも、一休さんは縄(なわ) を持ってくると、こう言いました。「どなたか、この虎を追い出してください。私が縛ってみせますから。」すると、お殿様は手をぽんと打って、言いました。「なるほど、うわさのとおり、一休はかしこいな。感心(かんしん) したぞ。」そして、ご褒美(ほうび) をたくさんやったということです。
生词
一休(いっきゅう)一休和尚
賢い(かしこい)聪明,伶俐
小僧(こぞう)小和尚
立て札(たてふだ)告示牌,布告牌
侍(さむらい)武士
ご馳走(ごちそう)款待,请客
かかる架设,按装
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