日语阅读原文 ハエにも同性愛がある
ハエにも同性愛(どうせいあい)がある。東京都町田(まちだ)市にある三菱化学生命科学研究所の飼育室(しいくしつ)に入ると、試験管(しけんかん) を太くしたような飼育びんがずらりと並ぶ。のぞくと、5ミリほどの小さいな体に赤い目のショウジョウバエが飛び回っていた。
ショウジョウバエの求愛行動(きゅうあいこうどう)は、オスがメスを追い回すところから始る。しばらくすると、オスはメスの傍(かたわ)らによって、メスに近い側の羽だけを激しく震わせる。その羽音(はねおと)がラブソングなのだ。メスは逃げ回るのをやめて、オスを受け入れる。
同性愛のハエは、突然変異(いへん) を人工的(じんこうてき)につくっているうちに見つかった。メスに興味(きょうみ)を示さないので、このハエと同じ遺伝(いでん)を持つ一群(いちぐん) を「サトリ」と名付けた。ところが、わかっていたわけではなかった。オス同士(どうし)にしたら、求愛行動を始めるではないか。
科学技術振興事業団(かがくぎじゅつしんこうじぎょうだん)の研究事業(けんきゅうじぎょう)の一つである「行動進化プロジェクト」は、サトリの発見(はっけん)をもとに、性行動(せいこうどう)を決める遺伝子(いでんし)を特定(とくてい)し、その構造(こうぞう)を明かにした。これは、動物(どうぶつ)の行動を決定 (けってい)する遺伝子のひとつを実証(じつしょう)した点で、画期的(かっきてき)なことだという。研究を進めれば、同性愛の病害虫(びょうがいちゅう)を増やすことで、その繁殖(はんしょく)を妨(さまた)げ、作物の生育を助けることなどに応用(おうよう)できる。
人間のさまざまな行動にも遺伝子がかかわっているのだろうか。研究リーダーの山元大輔(やまもとだいすけ)さんによると「その可能性(かのうせい)はある」そうだ。しかし、遺伝子の特性が実際に現れるかどうかは、環境(かんきょう)との相互作用(そうごさよう)だから、遺伝子がすべてを決めることにはならない、という。
遺伝子と生物の行動との関係を解き明かす研究は、世界中で厳しい競争(きょうそう)が繰り広げられている。今回の研究も、米国のチームとのデッドヒートのすえ、成果(せいか)を先に発表できた。「10年前に、この話をしたら、きっと学会(がっかい)でも変人(へんじん)扱いされたでしょう」(山元さん)。それほど、変化の激しい分野(ぶんや)なのだ。
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