たまたま家族がみんな出かけてしまった日曜日など、なぜかひとりで留守番というかっこうのとき、電話の鳴るたびにのこのこ立っていくのがおっくうで ― だいたい私あての電話は少ないのだ ― 断固無視してやろうとは思っても、リーンリーンリーンと鳴り続けるあの音に対して居留守を使うにはよほどの図太い神経がいるらしく、ためしに意地を張って見ると、けっきょく、いちいち席を立つよりも、無視しとおすほうがよほど心の疲れは大きいのであった。(佐藤信夫「レトリックの記号論」)
*居留守を使う:本当はいるのに、いないふりをすること。
問:「よほど心の疲れは大きいのであった」とあるが、それはなぜか。
1. 電話が鳴るとでなくてはいけないと思ってしまうから。
2. 日曜日にはひとりで留守番をしなくてはいけないから。
3. 期待して出ても自分にきた電話ではないことが多いから。
4. 電話が鳴るたびにいちいち立っていくのがおっくうだから。
正解:1
社会心理学者の木下富男先生の書かれた「クラクションランゲージ」と言う論文の中に、クラクションのエピソードがあります。ある教授が道を歩いていたとき、後ろからきた車からクラクションを鳴らされた。教授は車を通すために道を譲った。ところがすれ違ったときに車はもう一度クラクションを鳴らした。人がどいてやったのにまたクラクションを鳴らすとは失礼な奴だ、と教授は怒っている。木下先生はそこで、最初のクラクションは「A」という意味だが、後のクラクションは、「B」という感謝の意味のクラクションですよ、と説明をされたという話です。...(蓮花一己「カーコミュニケーションその?」)
*クラクション:自動車の警笛。
問:「教授は怒っている」とあるが、なぜ教授は怒ったのか。
1. クラクションの音がうるさかったから。
2. クラクションの音に驚いたから。
3. クラクションの意味を誤解したから。
4. クラクションの意味が間違っていたから。
正解:3
正月休みを利用してニュージーランドを旅行した。
ある町の中ほどに古いイギリスを思わせる重厚な石造りの大きな建物があった。案内書によると、無料でガイド付きの内部見学ができるとあるので、ドアを押してはいってみた。
中から年配のが現れ、今日は国の祝日で休みだという。がっかりしたけれど仕方ないので出ようとすると、彼女はついてこいと言い、薄暗い廊下に電気をつけて、大きな広間に案内してくれた。窓のステンドグラスが美しく、家具もいかにも重厚である。彼女は、ここで建国初期の歴史を語ってくれ、明日来たら、他のところも案内します、と言った。
祝日であることを知らずに押し掛けてしまった外国人に対し、役所の規則を曲げて案内をしてくれた。それは実に人間味のある良心的な態度で、私たちは大いに驚き感動し、130年も前から今日に至るまで行政の重要な場所として用いられてきたこの立派な建物を、明日再度訪問しようと話し合ったのであった。
問:なぜ「大いに驚き感動し」たのか。
1. 役所の職員が外国人に特別に親切にしてくれたから。
2. ステンドグラスや家具が素晴らしかったから。
3. その建物が古い歴史を持つ立派なものだったから。
4. 職員が、明日は他も案内してくれると言ったから。
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