野原などに一時的にしつらえた便所を、昔の言葉で野雪隠(のせっちん)という。いまの仮設トイレだろう。江戸の詩人、滅方海(めっぽうかい)に「野雪隠に至りて」と題する一編がある
临时设在原野等地的厕所,古语叫“野雪隠”。相当于现在的临时厕所吧。江戸詩人、滅方海写有题为《至野雪隠》的一篇。
「低(た)れんと欲して雪隠に臨みたれば/人 有りけり/咳払((せきばらい)すれども/尚(なお) 未(いま)だ出でざれば/幾度か吾(われ)は身振(みぶるい)したる」(岩波書店「日本古典文学大系89」)。その気になれば、どんな題材でも詩になるものだと感心する
“内急欲临雪隐/既有人/咳嗽示之/尚不出/吾已几度发抖”。兴致一来,任何题材均能成诗,我好生佩服。
用意される野雪隠…ではない、仮設トイレは700基にのぼるという。3万人の市民ランナーが銀座や皇居外苑、浅草などを駆け抜ける「東京マラソン」(東京都、日本陸上競技連盟主催)が明後日、18日に迫った
据说,这次准备设立不是“野雪隠”的临时厕所,达700个之多。后天即18日就要召开的“东京马拉松”(東京都、日本田径連盟主办)正一天天地逼近。比赛时3万名市民赛跑运动员将从银座、皇居外苑和浅草等地经过。
運営を手伝うボランティアは1万人以上、選手の着替えなどをゴール地点に運ぶトラックは36台と、国内のマラソン大会で空前の規模は各種の数字に表れている。トイレの数もそうだろう
赛事举办过程中前来帮忙的志愿者1万多人,把选手的衣服等物品运往终点的卡车36辆,各种数字体现了本届国内马拉松大会规模空前。厕所的数量也是如此吧。
ビルが並び、車がひっきりなしに行き交う都心の街は、どことなくよそよそしい表情をしている。走る人に、沿道で応援する人に、街並みはいつもとは違う顔を見せてくれるに違いない
東京都中心区高楼鳞次栉比,车辆络绎不绝,总觉得它的容貌有些陌生。有跑步的人,有沿路声援的人,届时城市一定呈现出与往常不同的面貌。
多くの参加者が後々まで、完走した瞬間を顧みるたび、身の震えるような感激を新たにする。混乱もなく、一人ひとりの記憶に残る大会になればいい。「みぶるい」は仮設トイレの前ではなく、思い出の前でするに限る。
每当想起日后众多的参赛者跑完全程的那些瞬间,重又会激动得浑身发抖。希望本次大会办得有条不紊,给每个人留下美好记忆。并且,“发抖”的感觉,千万不要发生在临时厕所前而要在回忆赛事时。