人物:立川 佐藤 好子(立川の妻)
場面:病院の一室
佐藤:明日いよいよ退院だそうですえー.おめでとうございます。本当によっかた。
課のみんなも立川さんが近々復帰されるって聞いて、喜んでますよ。快気祝いのパーティするそうですよ。
好子:佐藤さんにはたびたびお見舞いいただきまして、立川がどんなに元気づけられたか知ません。どうぞおかけになって、お茶入れてきますから。
立川:いやあ、ほんと、嬉しかったですよお。会社の様子をいろいろ話してくださったんで、心細くならずに済みましたからね。助かったなあ。一人で寝ていると、とり残されたようでね、気が滅入るってたまらないんですよ。
佐藤:ほら、そういうふんに仕事のことばっかり考えてるから胃に穴が開くんですよ。でもまあ、あの苦しみを味わって、これからは無理なさらないで、体第一にしてくださいよ。
好子:(お茶とお菓子をテーブルに置いて)なにもございませんが。
佐藤:どうぞかまわないでください。いやあ、しかし奥さんも本当に大変でしたね。
奥さんのほうがまいてしまうんじゃないかとハラハラしましたよ .立川さん、これで奥さんに一生頭が上がりませんね。
立川:頭下げるのはただですから、いくらでも下げますが、あとが怖いですよ。デパートの請求書がどっと回ってくるんじゃないかって。しかしつくづくよかったと思いますよ。胃潰瘍で済んで。 今度ばかりは健康のありがた味が骨身にしみました。今はしみじみと健康の喜びをかみしめていますよ。
佐藤:仕事に復帰してもそれを忘れないでくださいよ。それとあの七転八倒の苦しみ。もう2度と会社に救急車呼ぶことはごめんですからね。