むかしむかし、高松(たかまつ→香川県)生まれの若い侍(さむらい)が江戸つとめになって、目黒(めぐろ→東京都)にある侍屋敷で働いていました。
很久很久以前,在高松(香川县)出生的年轻武士来到江户工作,在目黑(东京都)的某个武士馆工作。
ある日の事、若い侍は近くにある不動尊(ふどうそん)へお参りにでかけました。
有一天,年轻武士去参拜附近的某个不动明王。
(ああ、高松がなつかしいな)若い侍がふるさとの事を思い出しながら歩いていると、一人のお坊さんが声をかけて来たのです。「あんたは、よっぽどふるさとへ帰りたいようじゃな。ふるさとはどこじゃ?帰りたいなら連れて行ってやろう。ついてきなされ」
(啊,好怀念高松啊)年轻武士一边怀念家乡的事,一边走着。忽然传来一个和尚的声音。「你特别想回家乡去吧。你的家乡在哪里啊?如果想回去的话,我就带你去。跟我来吧」
お坊さんは木のかげに若い侍を連れて行くと、片手をにぎって目を閉じるように言いました。
和尚把年轻武士带到树荫下,握着他的一只手,让他闭上眼睛。
すると若い侍の体が、フワリと浮き上がったのです。まるで、鳥になって空を飛んでいる様な気分です。
于是,年轻武士的身体轻轻地飘了起来。感觉就好像变成了鸟在空中飞一样。
「さあ、ついたぞ。目を開けても良いぞ」そう言われて目を開くとと、お坊さんの姿はどこにもありません。
「好了,到了。可以睁开眼睛了」听到这样说后睁开眼睛,却看不到和尚的身影了。
いつの間にか辺りは夜になっていましたが、そこは確かに高松の自分の家の前でした。
不知什么时候,天已经黑了,可那的确是高松自己的家门前。
「何とも、不思議な事もあるものだ」そう思いながら家の中をのぞいてみると、ちょうど家の中から父親が出て来ました。
「这可真让人不可思议啊」这样想着,就往家里看了一下,正好父亲从家里走了出来。
父親は、若い侍に気づいてビックリです。
父亲看到年轻武士吓了一跳。
父親は息子の幽霊(ゆうれい)かとも思いましたが、しばらくじっと見つめて本物の息子だと分かると言いました。「やっぱりお前か。いつ江戸から戻って来たんじゃ?そんなところに立っておらずに、早く家の中に入れ」
父亲以为是儿子的灵魂来了,后来定睛一看,发现真的是自己如假包换的儿子,就对他说道「真的是你啊。什么时候从江户回来的?不要站在那里了,快点进来吧」
若い侍は、父親や家の者たちに、今日の不思議な出来事を話しました。
年轻武士就把今天发生的不可思议的事告诉了父亲和家里人。
そして次の日、若い侍はまた江戸へと帰って行きました。
然后第二天,年轻武士又回到了江户。