本文: 王 :李さんは日本から帰ってもう一か月になったでしょう。 李 :ええ、時間の経つのはほんとうに速いですね。 王 :どこかに訪日の感想文を発表するでしょう。 李 :いいえ、そんなつもりはありません。私にはとてもそんな力はありませんよ。 王 :日本訪問の印象はどうですか。 李 :そうですね。日本は島国で、北海道、本州、四国、九州の四つの島のほか、四千ぐらいの小さい島からなっていますね。それで、山や温泉がたくさんあって、景色のいいところがたくさんありますよ。 王 :東京の印象はどうですか。 李 :東京は日本の首都ですから日本の政治の中心といえますね。そればかりでなく、経済、教育、文化などの分野でも東京は日本の中心になっていますよ。 王 :そうですか。東京見物をしてどうでしたか、ご感想は。 李 :感想といえば、いろいろありますが、まず驚いたのは公衆電話ですね。 王 :どこにも公衆電話があるそうですね。 李 :ええ、とても便利ですね。次におどろいたのは地下です。 王 :地下鉄ですか。 李 :地下鉄だけじゃありません。地下街もとても美しいですね。それに、商店や喫茶店やレストランなども設けられていて、買い物や憩いの場所としても人々に利用されていますよ。 王 :そうですか。東京の道路はどうですか。 李 :道路はよく整備されていますね。それで、電車もバスも時刻どおりに動き、遅れることは少ないようです。 王 :それはいいですね。 李 :ええ、そして、電車やバスが網の目のように走っていて人々を行きたいところへ運んでくれます。 王 :東京の人々が困っている問題はありませんか。 李 :もちろんありますよ。日本には、東京をはじめ、人口百万以上の都市が十ぐらいあります。東京の面積は日本全土の零点五パーセントにすぎませんが、し かし、全人口の約十パーセントの人々が生活しているのです。これが今起っているいろいろな問題の主な原因となっています。 王 :東京は大都会だけに、問題も多いでしょうね。 李 :ええ、まず、住宅問題です。狭い所に大勢の人が住んでいるので、家も土地も足りなくなります。 王 :おそらく東京の地価は高いでしょう。 李 :ええ、都心部の地価は一坪一億円もするそうです。 王 :それは高すぎるんじゃありませんか。 李 :ええ。ですから、家はもちろん、マンションやアパートの家賃もとても高くなっていますよ。いったん家を買った以上、一生、月月ローンを支払わなければならない人が多いそうです。 王 :話によると、日本では、カラーテレビ、洗濯機、冷蔵庫の三つはほとんどの家庭にあるそうですね。 李 :ええ、車のある家庭も七十パーセントを超えていますよ。 王 :みんな豊かな家庭ですね。 李 :まあ、物の豊かさから言えばそうかもしれませんね。日本人のほとんどは自分が中流階級に属すると思っているようですが、しかし、ほんとうにいい暮ら しをしていると言ってよいかどうか、むしろ、物価が高いから生活は苦しいと思っている人もかなりいるのではないでしょうか。 王 :そうですか。ところで、東京の交通事情はどうでしょうか。 李 :人口が多いから、交通問題も悩みの一つですね。とくに朝夕のラッシュアワーの混雑はものすごく、電車に乗れないで、プラットホームに残されることも珍しくありません。 王 :東京は車が多いでしょう。すると、自動車の排気ガスなど、大気汚染の問題はありませんか。 李 :ありますよ。ひどい場合は、町を歩いていると、車の排気ガスで、頭が痛くなり、目も、のどもおかしくなりますね。ほかに、ごみ処理の問題もあります。 王 :東京の人口は多いですから、出るごみの量も大変なものでしょうね。 李 :そうです。焼く場所と埋める場所が問題になります。狭い土地に人口が集中している悩みはこんなところにも現われているのですね。 王 :日本の教育はどうなっていますか。 李 :制度的にはだれでも行きたい大学へ行くことができますが、しかし、大学に入るのにかなりのお金が必要です。そして、有名な大学を卒業しなければ、一流の会社に入れないというのが現状です。 王 :そうすると、一部の有名な大学に志願者が集中するでしょう。 李 :そうです。それで試験も年年難しくなります。そして、試験に失敗して二年も三年も浪人する学生が増えるばかりです。 王 :じゃ、いい大学に入るためには小学校の時から塾へ通わなければなりませんね。 李 :ええ、「受験戦争」という言葉もあるくらいですよ。 王 :教育問題が深刻化するにつれて、社会問題も出てくるでしょう。 李 :ええ、最近の新聞を見ると、中学生の非行の問題が多く出ています。深夜、バイクや自動車を乗り回す暴走族、それからシンナー遊びなどの記事がよく新聞に出ています。 王 :教育はとても重要な問題ですね。ところで、日本と中国では、習慣や文化いろいろ違うと思いますが、訪日の間に困ったことはありませんか。 李 :ええ、それはたくさんなりました。中国で日本語を勉強した時、言葉のことについてはいろいろ習いましたが、習慣の違いについては全然習わなかったので、日本に着いて、はじめのうちは失敗ばかりしていました。 王 :一体、どんな失敗でしたか。 李 :例えば、靴の脱ぎ方も違います。 王 :どういう意味ですか。 李 :日本では、家の中に入ったとき、靴の先端を家の中の方に向けるのではなくて、履くときに便利なように、玄関のドアの方に向けておいておくのが礼儀です。 王 :そうですか。 李 :ホームステイで、日本人と一緒に生活して、日本の習慣が少しずつわかってきました。 王 :まあ、李さんは日本語が上手だから、言葉の面で、おそらく困ったことはないでしょう。 李 :いいえ、そうでもないですよ。はじめは、日本人の話し方がとても速いので、話がほとんどわかりませんでした。一か月ぐらいしてやっと慣れて、だんだんわかるようになりました。 王 :そうですか。 李 :大学で習った日本語と実際の日常会話で話される言葉がこんなに違うなんて思ってもいませんでした。日本の人は家の中では、くだけた話をします。先生や知らない人と話をする時は、「です」「ます」という丁寧な言葉を使いますね。 王 :そうですか。今日はいろいろ訪日の感想を聞かせていただいてどうもありがとうございました。 |
《新编日语》第二册课文详解第二十课
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