中学に入った頃から、私は、もともとの内向的傾向が、急速に強くなっていった。①自分とうまくつながらない外の世界、その中で孤独になった自分に何ができるのか。何をして生きていったらよいのか。そんなことを深く考えるようになっていった。小説なども、いろいろ読んでみた。文学の世界には確かに魅力があった。しかし、そこにも大人の世界の様様なわずらわしさが入り込んでいる。童話の世界のほうが、その点ではもっとよさそうだった。ちょうどそのころ、新しい童話、童謡の雑誌が出たりしていた。それで一時は、童話作家になれたらいいだろうなどと思った。が、当時の私は作文が苦手であったから、それも、自分の適正に反した夢に過ぎないと思い返さざるを得なかった。
その後、私の関心は文学書よりも哲学書のほうに移っていた。それは中学の後半から高校の前半の三、四年間のことであった。文学少年から哲学青年になるのは、別に珍しいことではない。②ここまでても、私はまだ自分が何者であるのか、何者になり得るのかについて、自信のある判断ができずにいた。ただ自分は結局、学者になるしかない、それも、﹙ ③ ﹚ような分野に入っていくしかない、とは思い続けていた。
ところが、高校時代の後半になり、大学進学を考えるころから、私の興味は急に物理学に絞られだした。それはひとつには当時、科学の先進地域であったヨーロッパで、物理学が激動の時代を迎えつつあることを知ったからであった。そこには、未知の世界が大きく開かれていた。数年後には自分が研究者として、この世界に入っていったら、なにかがないか。自分の適性もそれに向いているという、多少の自信もできつつあった。それよりも何よりも、物理学の研究は大いにロマンチックだ、と思ったのである。この気持ちは今もなお変わらない。
この自己発見は、私から迷いを追い払ってしまった。大学へ入ってからの私の気持ちは安定していた。孤独な人間であるという気持ち、自分の選んだ道を一人で歩くのだという気負いに変わりつつあった。
私の中にあった、何十年にもわたって、私を動かし続けているのは、未知の世界への憧れである。私はそれが美しい世界であると期待している。物理学者出ない人たちにとっては、それは別に美しいとは思えぬ世界であるかもしれない。また、多くの物理学者にとっては、美しかろうとなかろうと真実でさえあれば、また、実験と一致しさえすればよいのかもしれない。確かにそれは童話の世界のような美しさとは、異質であろう。しかし、童話作家が持つ童心を、私も持ち続けたいと思っている。
【問1】「①自分とうまくつながらない外の世界」とはどんなことを言っているか。
1、社会の仕組みがよくわからない。
2、いい仕事が見つからない。
3、外国の様子を知ることができない。
4、人間関係を作るのが苦手だ。
【問2】「②ここまでても」とはどんなことを言っているか。
1、哲学書を読むほどになっても
2、作家の夢が消えてしまっても
3、哲学者になろうと決心しても
4、学者になるしかないと思っても
【問3】﹙ ③ ﹚にはどんな文を入れたらよいか。
1、広く世界に発展する。
2、世間との交渉のできるだけ少ない。
3、自分自身を真剣に見詰める。
4、人類全体の幸福にかかわる。
【問4】この文に述べられた筆者の気持ちに一番近いのはどれか。
1、物理学者として真実を発見することさえできればそれで満足だ。
2、物理学で求められる美と、童話の世界で求められる美とは一致する。
3、未知の世界に隠されている物理学上の真実は美しいものに違いない。
4、物理学者も童話作家のような童心を持ち続けることが大切だ。
単語:
傾向(けいこう)【名】倾向,趋势,性质;倾向性
急速(きゅうそく)【名、形動】迅速,快速
魅力(みりょく)【名】魅力,吸引力
わずらわしい【形】厌烦的,心烦的;麻烦的,繁琐的
童謡(どうよう)【名】童谣,儿童诗歌,儿童作的诗歌
適正(てきせい)【名、形動】适当,合理,公平
思い返す(おもいかえす)【他五】再想一遍;改变主意;回想,反省
哲学(てつがく)【名】哲学,人生观,世界观
判断(はんだん)【名、他サ】判断,推断,推测;占卜
分野(ぶんや)【名】领域,分野
絞る(しぼる)【他五】 拧,挤;拼命发出高声;剥削;拉开(幕);严加责备;染出;集中
追い払う(おいはらう)【他五】赶走,辞退
気負い(きおい)【名】勇猛,气势
異質(いしつ)【名】异质,性质不同
参考译文:
从上初中开始,我原来内向的性格突然变得越发的内向了。置身于同自己不能很好相处的外部世界,在那里,孤独的我能做什么呢?做点什么活下去呢?每天冥思苦想这些问题。小说看了很多。文学世界的确充满了魅丽。可是,那里也存在着大人世界的各种烦杂。因此,我曾经想过当童话作家比较好吧等等。不过,因为当时我的作文不好,这只不过是布设和自己的梦想罢了,不得不改变了想法。
从那之后,我的兴趣从看文学书转移到了看哲学书。那是初中后半期到高中前半期的三四年间的事情。从文学少年变成哲学青年也并不是件稀奇的事情。即使到了这个地步,关于自己是什么,能成为什么样的人还一致没有自信的判断。只是一直在想:自己终究只有做学者,而且还是在跟社会少有接触的范围内(做学者)。
不过,到了高中后半期,从考虑大学开始,我的兴趣突然集中在物理学上了。其中的原因之一,是因为当时正处于科学先进领域的欧洲迎来了物理学激荡的时代。在那里,未知世界的门大大地敞开着。我就想:几年后自己如果能作为研究者进入这个世界的话,也许能做出点什么,也多少有了一些自己的才能适合于此的自信,最终对于物理学的研究产生了浓厚的兴趣,而且至今没有改变。
这个自我发现把迷惘从我身边赶走了。进入大学之后的我,心情稳定下来。曾经认为自己是孤独的人的这种心情开始变成了一种气势,那就是自己选择的道路要一个人走下去。
在我内心所拥有的、持续了几十年的、一直使我动摇不定的是对于未知世界的憧憬。我期待着那将是一个美丽的世界。对于不是物理学的人来说,也许并不认为那是美丽的世界。而且,对于其他众多的物理学者来说,也许不管美丽与否,只要和实验一致就可以了。的确,和童话世界的美相比,也许是不同性质的吧。可是,我想把当童话作家所拥有的童心一直保持下去。
问题1:文中提到的「同自己不能很好相处的外部世界」,说的是什么?
1、对社会的结构不太清楚
2、找不到好的工作
3、不能够了解外国的样子
4、不擅长处理人际关系
答案:4
解析:关键句为「
中学に入った頃から、私は、もともとの内向的傾向が、急速に強くなっていった。」和「孤独になった自分に何ができるのか」,由此可以得出「外の世界」指的是「人間関係」。
问题2:文中提到的「即使到了这个地步」,说的是什么?
1、即便是能看哲学书
2、即便是作家的梦消失了
3、即便是决心当哲学家
4、即便是只能当学者