一级阅读测试练习5
人間が環境に適応してうまく生きていくためには、子どもにしろ、学生にしろ、あるいはまた社会人にしても、さらに一家の主婦でも一国の総理大臣でも、自分の置かれた状況を意識し、その中での自身の立場をよく知り、考え、それによって今どのように行動したらよいかを正しく判断することがもとめられます。この場合に動員される精神機能が、知能です。したがって知能には、直感とかひらめきのような瞬間的に心に浮かぶ判断力から、瞬間的にはわからないが長時間熟慮の末にようやく一つの判断にたどりつく心の働きまで含まれることになります。〔①〕、心の働きのみちすじや精神活動の手続きを踏まない本能的行動や動物本来の反射的行動などは。知能とはいえません。たとえとして、②野生のサルが食べ物を探して食べる行動を見てみましょう。
まず、サルが空腹を覚えることは、動物本来の生理的感覚ですから知能ではありません。しかし、その空腹感によって食べ物を求めようとするとき、どこに食べ物がありそうかと考え、そちらの方向へ移動を始めようとするのはサルなりに判断が働きますから知能でしょう。ところで移動のさい、どの道を都通ったら安全で効果的かの選択は知能によりますが、走ったり歩いたりの筋肉運動自身は、機械的になされますから知能活動とはいえません。〔A〕
ともかくそのようにして、ある物体を目撃し、それが食べ物か否かの判断はサルの知能によります。つまり、サルはその物体を直感的にか仔細にかいずれにせよ観察して、③それがやはり食べ物だと見抜きます。そこで食べ始めるわけですが、元来物を食べる行為は、無防備になることですから、サルは安全に食べられる場所をさがさなければなりません。安全と思われる場所で食べはじめても、不意の外敵に襲われないよう絶えず周囲に気を配っていなければなりません。このような用心は〔④〕。[B]
一方、サルが食べ物をムシャムシャ食べるさい、食べ物をかむことは機械的に行われ、同時に唾液が口中に出てくることも反射によるものですから、知能とはいえません。じゅうぶん噛んでから胃のほうへ飲み込むことも消化管の反射運動ですので知能ではありません。[C]
さて、このようにサルで観察される知能的行動と反射的・本能的行動の絡み合いは、⑤レベルに大きな差はあるものの、人間の場合にも原則として当てはまると思われます。つまり、人間では、サルと比べて知能を必要とする事柄が圧倒的に多いのですが、日常生活が知能と反射・本能によって営まれていることは、サルも人間も共通ではないでしょうか。[D]
動物でもサルよりずっと進化の程度が低くなっていくと、その行動は知能によるものがだんだん減っていき、本能や反射に支配されるものが大部分となってきます。(中略)
端的な例ですが、アメーバの行動は、完全に周囲の状況に対する反射によって怒るのであって、アメーバが、多少であっても知能を働かせて行動することがあるとは考えられません。言い換えれば、アメーバは、知能などなくても生きていかれるし、子孫も栄えているわけです。
問1第1段落(人間が環境に・・・含まれることになります。)では何を説明しているか。
1)環境への適応について。
2)知能について。
3)直感について。
4)心の働きについて。
問2〔①〕に入れる言葉を次の中から選びなさい。
1)これによって 2)この中で
3)これについて 4)これに対して
問3②「野生のサルが食べ物を探して食べる行動」とあるが、サルが食べ物を探して食べるまでの行動の説明はどこまでか。その終わりの箇所をの〔A〕〔B〕〔C〕〔D〕から選びなさい。
1〔A〕2〔B〕3〔C〕4〔D〕
問4③「それ」は何をさしているか。
1)その本能 20そのサル 3)その物体 4)その直感
問5〔④〕にはどんな文を入れるのが適当か。
1)ちのうとみるべきでしょう。
2)ちのうとはいえないでしょう。
3)サルの行動ではないでしょう。
4)サルにしか見られないでしょう。
問6⑤「レベルに大きな差はあるものの」とあるが、これに最も近い内容のものは次のどれか。
1)サルのほうが知能が高いと判断される場合も多くあるが。
2)他の動物は、サルよりずっと進化の程度が低いように見えるが。
3)サルの生活に知能は必要ないので、比べるのは難しいが。
4)知能を必要とする事柄は、サルより人間のほうがはるかに多いが。
問7の内容から考えて、次のうち〔知能〕と呼べるものはどれか。
1)食べ物を食べたいと思う。
2)食べ物かどうか見抜く。
3)食べ物に近づくとき足を使う。
4)食べ物を口の中で噛む。
問8筆者は、人間とサルはどんな点で同じだと言っているか。
1)知能的行動と反射的・本能的行動によって生活しているという点で。
2)食べ物を探して食べるまでの行動がよく似ているという点で。
3)どちらも、他の動物と比べて知能が非常に高いという点で。
4)どちらも、機械的・反射的行動がほとんどないという点で。
問題Ⅱ次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適切なものを一つ選びなさい。
これは、終戦後間もない頃、①友人から聞いた話である。彼は、だいたいが慎重な運転をする男だったが、ある日のころ、横丁から突然、そば屋の青年が自転車で飛び出してきて、彼の自動車と衝突してしまった。
さいわい青年にけがはなかったが、自転車はメチャメチャ。さっそくおおぜいの人垣ができ、警察官もやってきた。友人が、「私には責任はない。その青年の不注意だ」と主張すると、その話を聞いた警察官は、②とにかく五千円払えば立ち去ってもよい、といったと言う。
友人が、〔ちょっと待ってください。私には落ち度がないのに、なぜ罰金を・・・」と問い返すと、彼は「いや罰金じゃない。青年がかわいそうじゃありませんか」と答えた。その青年はおそらく店にいられなくなるだろう、だからせめてメチャメチャになった自転車の代金の一部だけでも、と警察官は考えたのだろう。
④悪くすると、これは大きなトラブルになりかねない。友人が根が日本びいきで、日本語も日本人的心情も理解していたから、それ以上の論争にはならなかったが、全く違うことがわかる。この警察官の考え方の中には、正義とか法とか言う理念よりも、極めて日本的な情けや情といったものが深く入り込んでいたのである。
これは、実に人間味のある態度、考え方で、友人の話を聞いた私は⑤大いに感動した。理屈や理性だけで判断を下すのではなく、その前後の事情や個々の状況を参考にして、より人情味に溢れる決定を下すというのは、まさに人道的だと思う。
西洋的な観念に慣らされたものが、このような⑥日本的心情を理解するのは、かなり難しいことであるが、こういった⑦不合理な部分がゆるされるからこそ、日本は世界でも珍しく住みよい、人間のふれ合いのある国でいられるのではないだろうか。これらは、日本人が、みずからの長所として、もっと自覚し、誇りを持ってよいことである。
しかし同時に、こういった情は、なんとも定義しにくいものであり、客観的な法の理念の中に入れることは、なかなか難しい。そして、もしそれを許すなら、しまいには人権をまもることさえできなくなってしまう。
問1①〔友人から聞いた話〕の内容に含まれるのは次のどれか。
1)事故でおおぜいの人が死んだ。
2)事故でけがをした人はいない。
3)事故で友人はおおけがをした。
4)事故で自動車が使えなくなった。
問2②「とにかく五千円払えばたち去ってもよい」とあるが、警察官がそういった理由として考えられるのは次のどれか。
1)おおぜいの人が見ていたから。
2)自転車は当時五千円くらいだったから。
3)筆者の友人には責任がないから。
4)青年の立場に同情したから。
問3③「問い返す」とあるが、友人はなぜ問い返したのか。
1)自分に罪はないと思ったから。
2)まわりの人々に罪があると思ったから。
3)青年に罪はないと思ったから。
4)警察官に罪があると思ったから。
問4④「悪くすると」とあるが、たとえばどういうことか
1)青年がその事故で病気になったりすると。
2)警察官がその青年におかねをあげたりすると。
3)私がそれを他の人に話したりすると。
4)友人がそれを法的に問題にしたりすると。
問5⑤「大いに感動した」のはなぜか。
1)青年にはけががなかったから。
2)法と正義の理念が現実されたから。
3)警察官のやり方が人道的だったから。
4)友人がそれ以上論争しなかったから。
問6⑥「日本的心情〕について筆者が言いたいことは次のどれか。
1)人道的な面もあるが、自動車事故があると損をする人もいる。
2)人道的な面もあるが、法の理念とは対立するところがある。
3)人道的な面もあるので、日本の警察官はもっと誇りを持つべきだ。
4)人道的な面もあるので、西洋の法律にも」取り入れるべきだ。
問7⑦「不合理な部分」とは、この場合どんなことをいうのか。
1)理屈だけで判断しないこと。
2)罰金が安すぎること。
3)西洋的なほうの考え方に慣れていること。
4)日本が住みやすいこと。
問8文中の「友人」について、この文章からわかることは次のどれか。
1)日本語がほとんどわからない。
2)法の理念を勉強しに日本へ来た。
3)日本人の考え方がかなりわかる。
4)事故の後日本がきらいになった。