1级読解の練習(20)
この葉っぱは毒だと、ということを知ると、猿は、当然それを食べませんが、①これはやがて子供たちにも伝承されていきます。つまり学習を通じて食べられる植物を覚えていく。やがてそれが群れ全体に広がって、これは食べてはいけない、これは食べてもいい、といった(②)ができていくことになります。
例えば、こんな例があります。マウンテン・ゴリラのすんでいる森に、デメラというツタの植物がある。このツタの葉っぱはとてもおいしいので、現地の人も食べているし、われわれも時折食べました。ところが、この植物にはおいしそうな(③a)がなるのですが、物凄く有毒です。これを食べたら本当に死んでしまう。ゴリラはこのことを知っていて、( ③ b)だけ食って、( ③ c)は絶対に食わない。ゴリラの子供が食べようとしたら、駄目、いけない、と制止します。そうやって、ちゃんと子供たちに教えていく、学習をさせる。だから、サルたちは回りにあるものを手当たり次第に、なんでも食っているのではなくて、④食べ物をレパートリーが群れによって決まっているわけです。つまり、群れに固有の食物文化というものができている。だから、⑤文化というものを育てる基盤は、ハッパを食べることが形成されたのではないかと思えてならないのです。西田利貞さんの最近の調査によると、野生チンパンジーがどうも薬草を使っているらしいという。つまり、毒物も少量うまく摂れば薬になるわけですから、チンパンジーくらいになると、どういう薬草にどういう薬効があるがわかっていて、それをうまく食べ分けているのではないか、というものです。
問1 「①これ」はどんなことか。
1 自分で経験しながら学習していくこと
2 危険のない場所で生活すること
3 毒のある薬を食べないようにすること
4 群れのルールを守って行動すること
問2 ( ② )には何が入るか。
1 生活様式のパターン 2 森林の征服
3 葉食の対象化 4 食物文化の伝統
問3 ( ③a)( ③c)にはどんな言葉が入るか。正しい組み合わせを選びなさい。
1 花 葉っぱ 実
2 実 葉っぱ 実
3 実 茎 葉っぱ
4 花 葉っぱ 茎
問4 「④食物レパートリーが群れによって決まっている」というのはどんな意味か。
1 サルのグループによって、食べるものの種類が少しずつ違っていること
2 サルのグループによって、食べ物を見つける場所が限られていること
3 サルのグループによって、別々の方法で有毒の植物を見分けていること
4 サルのグループによって、子供への食べ物の教育法がいろいろあること
問5 「⑤文化というものを育てる基盤は、葉っぱを食べることが形成された」とは、サルの食行動のどんな点から考えたのか。
1 手当たり次第に身の回りの葉っぱをたくさん食べていること
2 群れの中では決められた食べ方を、どのサルにも学ばせること
3 おいしい葉や有毒の植物を見分け、それを子供たちにも伝えること
4 いろいろな葉っぱを食べる経験を通じて知能が発達したということ
問6 野生のチンパンジーの観察から、彼らがどんなことをしていると考えられるか。
1 有毒の植物でも、少量ならおいしく食べられることを知っている
2 植物の書類の違いと食べる量を考えて、効果的に摂ることができる
3 毒を消すために、たくさんの種類の植物を摂ることを伝承している
4 ある種の葉っぱを加工して、病気の時に薬にすることを考えた