#1 作者:玲音 2003-12-4 20:22:00)
「腹が立つ」と「頭にくる」はどう違う?
「頭にくる」と「腹が立つ」は、意味の上では、大きな違いはないように思われます。しかし、二つの慣用的表現には、以下のような違いが存在します。
欠点を指摘されて頭にきている。
欠点を指摘されて腹が立っている。
二つの文を比較した場合、先の文は後の文に比べて許容度がやや落ちるように思われます。また、「腹が立つ」という表現のほうは、
時間が経つにしたがって、だんだん腹が立ってきた。
と言えますが、「頭にくる」のほうは、
×だんだん頭にきた。
×だんだん頭にきてきた。
ともに許容できません。つまり、「腹が立つ」が変化の段階およびその結果を捉える表現であるのに対して、「頭にくる」のほうはそのような特徴を備えていないということができます。
なお、「腹が立つ」が
彼の指摘に腹が立った。
と、「腹が立つ」という感情の引き起こし手(原因)を示すニ格をとることができるのに対して、「頭にきた」の場合は同様の言い方ができません。
最後に「腹を立てる」が命令文にできるのに対して、「頭にくる」「腹が立つ」が命令文にできない点について。命令文にできないということは、動作が動作主の意志によってコントロールできない(行なう・行なわないを決定できない)ということを表しています。次のように、動作主が意図的に動作を行なうという文では、「腹を立てる」は許容できますが、「頭にくる」「腹が立つ」はともに許容できません。
太郎はわざと腹を立ててみせた。
×太郎はわざと頭にきてみせた。
×太郎はわざと腹が立ってみせた。
alcより[emb13]