ジョーンズ氏:鈴木さん、私の名詞、2ヶ国語で刷ってあるんですが、お見せしましたっけ。
鈴木氏:親、なかなか準備がよろしいですね。お名前はやんとカタカナ入っていますね。
ジョーンズ氏;このまえ来た時、こんど来るときは、名刺を作ってこようと思っていたんです。名詞をやり取りする日本の習慣は、ほんとに便利ですね。。そのときファーストネームや正確な肩書なんかを聞き取れなくても心配入りませんし、後から電話もかけやすいですね。
鈴木氏:そうなんです。いただいた名刺を入れた箱はとても大事ですよ。これがないと仕事がスムーズにできないんです。
ジョーンズ氏:最近は日本のビジネス習慣がアメリカにも輸入されて、今では、私たちアメリカのビジネスマンでも名刺を使う人が増えています。ビジネスマンは、日本に行くのなら名刺を用意したほうがいいとアドバイスをしている記事を見たことまあります。
鈴木氏:元来名刺はドイツやフランスで使い始めて日本に来たものなんですが、今や日本から逆輸入とは面白い現象ですね。
ジョーンズ氏:面白いと言えば鈴木さん、私には前から不思議に思っていることがあるんです。日本のビジネスマンは自分紹介するとき、自分の仕事については何も言わずに、まず会社の名前を言いいますね。私たちアメリカ人だったら「私はファイナンス担当です」とか、「メカニカルエンジニアです」と言うふうに職種を紹介する場合のほうが多いんですが。
鈴木氏:なるほどねえ。私は、この習慣の背景には、いつかお話しした集団意識と言う日本人の特性があると思うんです。
ジョーンズ氏:ああ、あのお話は覚えていますよ。でも、それとまず会社の名前を言うのとは、どういうつながりがあるんですか。
鈴木氏:その集団意識の企業の一員であると言う強い意識になって表れるんです。日本のビジネスマンがあったときには、お互い相手がどんなの能力や資質を持っているかということよりも、相手がどの集団、つまりどの会社のメンバー化ということをまず知りたがるのです。
ジョーンズ氏:なるほど、それから、自分の職種よりも所属する部門を紹介するのはなぜですか。
鈴木氏:これは、日本の会社員が採用されたときの状況やその後の職場経験からそうするんです。
ジョーンズ氏:といいますと
鈴木氏:日本の会社は、一般に特定の職位を補充するために人を採用するんではないんです。将来発揮される潜在能力を見て採用するんです。採用し絵からも、特にホワイトカラーについては、適性?升進?事業状況などによって、経験のない職場に変わることもごく普通です。だから、在る特定の仕事の専門家であると意識が薄いんです。ですから、お互いどんな仕事をしているのかを紹介するには、現在の所属部門と言うのが、一番わかりやすいと言うことなんです。
ジョーンズ氏:それからもうひとつ面白いと思ったことは、日本の会社では自分より目下の人を呼ぶときは名前で呼ぶけれど、目上の人を呼ぶときは「部長」とか「常務」とか呼ぶんだそうですね。
鈴木氏:日本では昔からの習慣で、自分より年齢?地位の高い人の名前を口にするのは失礼に当たると考えられているからです。「実名敬避」と言って、中国にも昔からあった習慣です。
ジョーンズ氏:それでは学校の教室で生徒は先生をどう呼ぶんですか。
鈴木氏:「先生」と呼ぶんです。あなた方のように、生徒が先生を「ジョーンズさん」なんて呼びません。家庭でも同じです。
ジョーンズ氏:絵、家の中でもですか。
鈴木氏:ええ、兄と姉を下の子が呼ぶときは、「お兄さん」「お姉さん」とよぶんです。
ジョーンズ氏:すると上の子が下の子が呼ぶときは「弟さん」「妹さん」と呼ぶんですか。
鈴木氏:層は呼びません。下の子を呼ぶときは、名前で呼ぶんです。
ジョーンズ氏:ははあ、「実名敬避」の原則は家庭の中でもちゃんと生きている、と言うわけですね。