むかしむかし、浜名湖(はまなこ)の近くの海で、夜になると海中で何かが明るく光りました。
很久很久以前,在滨名湖附近的海里,到了晚上海里就有明亮的光。
「あれは、何じゃ?」「何だか気味が悪いのう。良くない事が起こる前ぶれだろうか?」
「那究竟是什么呢?」「总感觉不太对劲。像是要发生不好的事情的前兆吧?」
漁師たちは何度も船を出して光る原因を調べましたか、どうしても光る原因が分かりません。
渔夫们好几次坐船出去想调查发光的原因,可是怎么都不知道为什么会发光。
そこで大きなアミを海の底までおろしてみると、何と木彫りの古い観音(かんのん)さまがあがって来たのです。
因此将巨大的网撒向海底,居然捞上来一个木刻的陈旧的观音像。
あの不思議な光を放っていたのは、この観音さまだったのです。
发出那不可思议的光芒的正是这尊观音像。
「観音さまなら、和尚さんに相談しよう」村人たちはお寺の和尚(おしょう)さんと相談をして、見晴らしの良い汐見坂(しおみざか)にお堂をつくってまつりました。
「是观音的话,就跟和尚商量一下吧」村民们和寺院的和尚商量了一下,就在适合远眺的汐见坂造了佛堂供奉。
さて、ある年の春の事です。
话说,在某一年春天。
江戸(えど)から東海道(とうかいどう)を下って広島に帰る殿さまが、汐見坂の近くに宿をとりました。
从江户过东海道回广岛的老爷,投宿在汐见坂附近。
すると夢の中に、光り輝く観音さまが現れて、「今すぐこの地を離れよ。ここには大きな災(わざわ)いがせまっている」と、言うのです。
在梦中,闪闪发光的观音出现了,对他说道「立刻离开这里。这里将有大祸临头」
目を覚ました殿さまは、すぐに旅の仕度を命じました。
醒了的老爷立刻命令准备出发。
「殿、この夜中に出発とは、どういう事でしょうか?」お供の者たちが尋ねると、殿さまは夢の話を聞かせました。「さあ、観音さまのお告げだ。急げ! それから近くに住む者たちにも、この事を伝えよ!」
「老爷,这半夜三更的出发到底是为什么啊?」随从问道,老爷就把梦里的话告诉了随从。「这是观音的忠告。赶紧!也把这事告诉住在附近的人!」
「しかし殿、たかが夢の事で」
「可是老爷,那不过是个梦啊」
「信じない者は、残るがよい!」殿さまはそう言うと、わずかなお供を連れて旅立ちました。
「不相信的人可以留下!」老爷这样说着,就带了几个随从启程了。
そしてそれから何時間もしないうちに、沖合いから大津波(おおつなみ)が押し寄せて来たのです。
在短短不到几个小时内,海啸就从海上涌来。
村人の多くは殿さまにしたがって逃げ出したので助かりましたが、それにしたがわなかった者たちは大津波に飲み込まれて死んでしまいました。
很多村民因为跟随老爷逃了出来得以躲过一劫,可是没有跟随的人们就被海啸吞没了。
さて、夢のお告げで命を救われた広島の殿さまは、感謝を込めて観音さまに狛犬(こまいぬ)と灯籠(とうろう)を送りました。
老爷为了感谢观音托梦告知使得以逃生,就给观音送去石狮子和灯笼。
しかしそれがどこで間違えたのか、狛犬と灯籠は別にお寺に送られたのです。
可是不知道是哪里弄错了,石狮子和灯笼被送到别的寺庙里去了。
そして今も、狛犬と灯籠は別のお寺にあるという事です。
所以听说现在,石狮子和灯笼还放在别的寺庙里。