むかしむかし、紀の関という関所があり、この関所に近い村に一人の若者が住んでいました。
很久很久以前,有个叫纪之关的关口,在这关口附近的村子里住着一个年轻人。
ひどくあきっぽい男で、何をやっても途中で投げ出してしまうので村人に馬鹿にされていました。
那是个很没有常性的男子,不管做什么事都会半途而废,所以被村民们很看不起。
ある日の事、その若者が山道を歩いていると、羽に矢が刺さってもがいている白鳥がいました。
有一天,那个年轻人走在山道上,发现了一只翅膀被箭刺中而痛苦挣扎的白鸟。
若者はその白鳥の羽から矢を抜いてやると、空へ放してやりました。
年轻人把箭从白鸟的翅膀上拔掉后放到了空中。
そのとき白鳥は一声鳴いて、うれしそうに飛び立っていきました。
这时白鸟叫了一声后,很高兴地飞走了。
さてその晩、若者の夢の中で白鳥が現れて、「昼間は危ないところを助けてくださり、ありがとうございました。お礼に、お前さまの願いをかなえてあげましょう」と、言うではありませんか。
那天晚上,那只白鸟出现在了年轻人的梦里,对他说道:“白天在危急关头,谢谢你救了我。作为回报,我可以实现你的愿望。”
若者は少し考えてから、「それなら、きれいでやさしい嫁を世話してほしい」と、言いました。
年轻人想了一会说道:“这样的话,我想有个美丽温柔的妻子。”
それから三日後、若者のところへ美しい嫁がやって来たのです。
在那三天后,就有个美丽的女子来到了年轻人这里。
嫁さんはとてもいい嫁さんで、家の仕事も畑仕事もがんばり、そして若者をとても大切にしました。
女子是个很好的妻子,很努力地做家务、操持农活,对年轻人也很好。
けれども若者の方は、嫁さんよりも鳥やけものの狩りに心を奪われるようになりました。
可是年轻人的心思却渐渐用在了捕鸟狩猎上。
そしてある日のこと、若者は嫁さんにさんざん小言をいったあげく、空に向かって叫びました。「白鳥よ、おらあ、この嫁にはあきあきした。嫁より、狩りをするのが楽しいんじゃ。もう嫁はいらんから、代わりに立派な弓矢をくれ」
然后有一天,年轻人把妻子恶狠狠地骂了一通后,对着天空大喊道:“白鸟,我对这个妻子已经厌倦了。与妻子相比,我还是更喜欢打猎啊。我不要妻子,给我把好弓箭吧。”
嫁さんはそれを聞くと一晩中泣いていましたが、朝になると嫁さんの姿はなくて、その代わりに立派な弓矢が置いてあったのです。
妻子听到后哭了一晚上,然后第二天一早妻子就不见了,取而代之的是一把好弓箭。
「おおっ、これさえあれば、鳥でも鹿でも取り放題だ」若者は弓矢をつかむと、大喜びで狩りに飛び出しました。
“噢噢,只要有了这个,不管是猎鸟还是猎鹿,都不在话下了。”年轻人抓着弓箭,高兴地飞奔出去打猎了。
しかしいくら立派な弓矢を持っていても、狩りの腕が悪いので山鳥の一羽も射止められません。
可是就算弓箭再好,打猎技术不好的年轻人一只鸟都没有打到。
一緒に狩りに行った村人に馬鹿にされた若者は、くやしまぎれに弓矢を放り投げました。「こんな弓矢、もういらん!」
被同行来打猎的村民鄙视的年轻人很不甘心地扔下了弓箭,“这种弓箭,不要了!”
すると弓矢は美しい白鳥に姿を変えて、若者の手をするりと抜けると山峠のかなたへ消えていきました。
转瞬间弓箭变成了美丽的白鸟,迅速地从年轻人的手里逃脱,飞到山顶那边消失不见了。
「まてー、まってくれー!やっぱりあの嫁を帰してくれー!」白鳥を追いかけた若者は、関所を駆け抜けようとして関守に呼びとめられていました。
“等等,等等我!还是把那个妻子还给我吧!”年轻人追着白鸟,想要过关口时被守关者叫住了。
びっくりした若者は、あわてて頭を下げて言いました。「怪しい者では、ございません。このあたりの百姓でして、逃げた嫁を探していたのです」
吓了一跳的年轻人慌忙低下头说道:“我不是什么坏人。是这附近的老百姓,是去找出逃的妻子的。”
そして恐る恐る関守の顔を見上げて、若者はあっと叫びました。
年轻人战战兢兢地抬头去看守关者的脸,啊地叫了一声。
なんとその関守は女で、しかも姿を消した嫁さんだったのです。
那个守关者竟然是个女的,还正是消失不见的妻子。
嫁さんは、目からみるみる涙を流しながら言いました。「どんなことがあっても、この関は通しません。お前ののぞみは、もうかなえられません」
妻子流着泪说道:“不管发生什么事,这个关口都不会开。你的愿望将不会再实现。”
そして涙に濡れた袖はみるみるうちにまっ白な羽に変わり、それを見た若者は転げるように逃げていきました。
眨眼之间,被泪水浸湿的袖子变成了白色的羽毛,年轻人看到这一幕后落荒而逃。
このときから紀の関は、不死鳥の関とよばれるようになったのです。
从那以后,纪之关就被称为了不死鸟之关。