一定の年齢以上の人が口にする言葉に、「近ごろの若い者はものを知らない」というのがあります。私もそう思っています。しかしだからといって「近ごろの若い者は知るべきことを知らない」と思っているわけではありません。
なぜなら、「近ごろの若い者はものを知らない」というのは、「高齢者(こうれいしゃ)が知っていることを知らない」ということにすぎないからです。
逆に、「若者が知っていることを高齢者は知らない」という意味では、「近ごろの高齢者はものを知らない」とも言えるのです。( )若者と高齢者とでは、知っていることが違うというかでのことなのです。
(秋庭道博「やさしくやさしく考えよう生きてみよう」による)
(注)高齢者(こうれいしゃ):年をとっている人
「問い」( )の中に入る言葉として適当なものはどれか。
1 それで 2 例えば 3 むしろ 4 要するに
解説(かいせつ)
昨年度は縦書(たてが)きの問題が出題(しゅつだい)されました。新聞や雑誌など、日本語の出版物(しゅっぱんぶつ)は縦書きのものが多いです。慣(な)れていないと読みにくいかもしれません。いくつか目(め)を通(とお)しておきましょう。
( )に接続詞(せつぞくし)を入(い)れる問題は毎年出題されています。接続詞の前の文がどのような関係かということは、長い文を読むときにはとても大切(たいせつ)なポイントです。前の文のりゆうを言っているのか、逆にのことを言っているのか、同じようなことをつけ加(くわ)えているのか。接続詞をグループに分(わ)けて整理(せいり)しておくといいでしょう。例えば:
u 先に理由を述(の)べ、後で結果を述べる接続詞:したがって、だから、など
u 前の文と反対のことを述べる接続詞:しかし、けれども、ところが、など
u 前の文と同じようなことを述べる接続詞:つまり、すなわち、要(よう)するに、など
上の問題では、( )の前の内容を短く言い換えたのが後(うし)ろの文ですから、「要するに」が正解になります。