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镜池
我来到镜池湖畔,沿着观海寺后杉树林中的小道下到谷底,未登上对面的山,路分成了两条岔道,再过去便到了镜池湖畔。湖畔矮竹丛生,有些地方竹子从左右两边长过来,重重叠叠,不弄出点响声来简直无法通过。从树木中间望去,能看到湖面,但若不绕它转上一圈,则难知其首尾。徒步一走,发现它竟出人意料地小,顶多只有三百米左右。
然而,其形状极不规则,许多地方岩石就毫无修饰地横躺在水边。湖岸也如同湖本身那难以名状的形状一样,高低起伏,毫无规则地绵延相连。
湖的四周杂树丛生。有数百棵之多,数不胜数。其中有的还尚未萌发新芽。树枝较疏的地方,由于受到阳春的日照,地上竟已长出了春草。杂草之间,紫花堇那淡淡的身影已隐约可见。
夏目 漱石 《旅愁》
原文:
鏡が池
鏡が池へ来て見る。観海寺の裏道の、杉の間から谷へ降りて、向うの山へ登らぬうちに、路は二股に岐れて、おのずから鏡が池の周囲となる。池の縁には熊笹が多い。ある所は、左右から生い重なって、殆ど音を立てずには通れない。木の間から見ると、池の水は見えるが、どこで始まって、どこで終わるか一応回った上でないと見当がつかぬ。あるいて見ると存外小さい。三丁程よりあるまい。
ただ非常に不規則な形で、所々に岩が自然のまま水際に横たわっている。縁の高さも、池の形の名状し難い様に、波を打って、色々な起伏を不規則に連ねている。
池をめぐりては雑木が多い。何百本あるか勘定がし切れぬ。中には、まだ春の芽を吹いておらんのがある。割合に枝の繁まない所は、依然として、うららかな春の日を受けて、萌え出でた下草さえある。壺菫の淡き影が、ちらりちらりとその間に見える。
夏目 漱石 「草枕」