I2. 小西さんと奥田さんは会社の同僚です。
小西: まったく、まいったなあ、部長の社内報、もう原稿は全部、そろってんだけどな。
奥田: ああ、今日、締切りだもんな。
小西: それがさー、今ごろ、これ、トップに載せろ、って持って来んだから。30ページもあるんだぜ。ほら、部長のこないだのヨーロッパ視察の体験記。
奥田: へえ、ずいぶん頑張って書いたんだねえ。
小西: 感心してる場合じゃないよ。これ、わずか1ページにまとめろ、って言うんだから、まったく...、そんなの自分でやってくれって言いたいよ。
奥田: 厚かましい話だなあ。
小西: おまけに見てくれよ。この手書きの原稿のきたなさ。
奥田: わっ、読めないな、これ。
小西: だろう?夜7時になってこんなの持って来られちゃ、かなわないよ。
奥田: まったく、あの人のやりそうなことだな。
小西: おかげで今日のデートは中止。こないだもそうだったんだぜー。これで彼女とうまくいかなくなったら、部長、あんたのせいだ、って言ってやりたいよ。
奥田: まあ、そうかっかするなよ。おれ、時間あるから、手伝ってやるよ。
小西: 悪いなあ。助かるよ。