むかしむかし、岩代の国(いわしろのくに→福島県)のあるところに、なまけ者でうそつきの、『うそたれうそ五郎』という男が住んでいました。
很久很久以前,在岩代国(福岛県)的某个地方,住着一个男子,他既懒又会说谎,所以人称“谎话连篇的五郎”。
あまりひどいうそをつくので、怒った村人たちはうそ五郎を捕まえて山の高い木の枝に逆さづりにしてしまいました。
由于撒了很过分的谎,所以被惹怒了的村民们就抓住五郎,把他倒挂在山上很高的树枝上。
するとそこにテングが、テングの宝物の「羽おうぎ」をパタパタとあおぎながら空を飛んできて、「いったい、何をしておるんじゃ?」と、たずねたのです。
这时有只天狗一边扇着他的宝贝羽扇,一边从天上飞过,他问五郎道:“你到底在干什么啊?”
「逆さまになって見る景色はいいぞ。どうじゃ、テングさまもやってみんかね?」
“倒挂着看到的风景别有一番风味哦。怎么样,天狗先生也试试?”
「おもしろそうじゃな。しかし、どうやってぶらさがるんじゃ?」
“看上去好像挺好玩的。可是,要怎么样才能倒挂起来呢?”
「おらが教えてやるから、ちょっと、おろしてくだされ」うそ五郎はテングをうまくだましてテングを木の枝に逆さづりにすると、とりあげた「羽おうぎ」をパタパタとあおいで、京の都まで飛んでいきました。
“我教你,你把我放下来一下。”说谎五郎很好地骗过了天狗,将天狗倒挂在了树枝上,然后啪嗒啪嗒地扇着羽扇飞到京之都去了。
都を歩いていると、立派な屋敷の前に、《娘の病気を治した者は、婿(むこ)にむかえる》と、立て札がありました。
走在京城,看到一座很气派的房屋前,立着告示牌写着“能治愈我女儿的病的人,将招为女婿”。
うそ五郎は屋敷の人に、「娘さんは、どんな病気だね?」と、たずねました。
说谎五郎问屋里的人:“小姐得的是什么病?”
すると屋敷の人は、声をひそめながら答えました。「それが、おならの止まらない『尻なり病』なのです」
屋里的人压低声音小声说道:“那是止不住屁的『放屁病』。”
「よしきた。おらが治してやる」うそ五郎は娘の座敷に入ると、羽おうぎで娘のお尻をあおぎました。
“好的。就让我来治吧。”说谎五郎走进小姐的房间,用羽扇扇小姐的屁股。
するとおならはピタリとやんで、娘も屋敷の人たちも大喜びです。
就这样,屁一下子就停了,小姐和屋里的人都很高兴。
そして、家の主人に、「ありがとうござしました。ぜひとも、娘の婿になってください」と、頼まれました。
于是家里的主人就拜托道:“太感谢你了。请一定要娶我女儿为妻啊。”
「それは願ってもない話しだが、ちょっくら待ってください」うそ五郎は羽おうぎをパタパタとあおいで、テングを逆さづりにしている山へ飛んで帰ると、「テングさま、すまなかった。おわびのしるしに、都の酒を持ってきた。たんと、飲んでください」と、テングを木の枝からおろしました。
“这是求之不得的,不过稍微等我一下。”说谎五郎啪嗒啪嗒地扇着羽扇,飞回到倒挂着天狗的山上,将天狗从树枝上放下来,说道:“天狗先生,不好意思啊。我从京城带了酒来,作为赔礼。你多喝点吧。”
その後、うそ五郎はあらためて都にのぼって、とても良い婿になったという事です。
之后,说谎五郎又回到了京城,做了个好女婿。