事務室で
木下:はい、販売3課.あ、毎度お世話になっております。……は、コピーの色がにじむ……ぶれる……カラー調整の目盛りはどうなってますか……ははあ、やはり機械の中を調べてみないと……それでは、今日の午後一番に修理の者を差し向けますので、よろしくお願いします。ヤレヤレ、今日は故障がこれで4回目か。みんな使い方が乱暴だからな、もう。
ピーター:そうですね。みんなマニュアルをろくに読まないし。もしもし、長谷川商事です。……は?……
客:先日高い金出して買ったおたくの機械、もう故障だよ。
ピーター:どんな故障でしょう?
客:どんなって、色はでないわ、紙もでないわ。
ピーター:はい、ではすぐ修理の者を行かせます。
客:その修理がなかなか来ないから、電話してるんじゃないの。
ピーター:そうですか。誠に申し訳ありません。至急うかがいますので。
客:もう待ちきれないよ。
ピーター:そうおっしゃらずに、大至急!
客:おたくの名前は、なんていうの?
ピーター:ハウエルです。
客:えっ?
ピーター:ハウエルと申します。
客:ああ、外人さんか。日本語うまいじゃないの。
ピーター:ありがとうございます。
客:フン、それよりこっちの故障はどうなんだよ?
ピーター:ですから、あの……
客:おい、ハウエルさんよ、おまえさんがすぐ修理にこないと機械の代金は払ってやらねえぞ。
ピーター:はい!わかりました。すぐうかがいます。すみません。では。
ピーター:ただの紙づまりですよ、これは。
客:あっ!あ、そう。だって、そんなことわかんないんだよな。
ピーター:ですから、この注意書きをお読みいただければちゃんと……
客:こんな小さな字じゃ読めねえんだよ。不親切だよ!
ピーター:どうかお願いします。
客:フン、ま、いいや。ご苦労さん。
ピーター:よろしくお願いします。
事務室で
客:いったいどうしてくれるですか!
ピーター:ですから、修理の者に話を聞いてください。
客:そうじゃなくて!
ピーター:すみません。
客:ええ、もう!上司の人と直接話したいので、課長か部長を、呼んでくださいよ!
ピーター:は、はい。
課長、すみません。
三浦:あ、さっきのお客様、どうなった?
ピーター:それが、一生懸命お話を聞いたのですが、直接上司と話したいって言うんです。
三浦:ふーん、はい。それで、なんて言っているの?お待たせいたしました。販売課長の三浦でございます。
客:へえ、あなたが課長?!フーン。中央出版の山崎です。
三浦:いつもお世話になっております。それでご用件の方は?
客:おたくの機械は問題ですよ。
三浦:と、おっしゃいますと?
客:買ったばかりなのに、おたくの複写機、故障ばかりしているんですよ。それにおたくの修理係、態度がひどいんですよ。
三浦:ほう。
客:去年買ったばかりなのに、もう古いから買い換えろって言うんですよ。これじゃサギじゃないですか。
三浦:で、故障は具体的にどんなこと……
客:もう色々。コピーの色が変だったり、汚れたり……
三浦:それはおかしいですね。そんなことはないと思いますが。
客:それから、こないだはここの個所が悪いと言って、ここだけじゃなくて全部変えてしまって……こわれてないところまで修理して、ヒドイじゃないですか。
三浦:失礼ですが、その点はちがいます。この部分は機械の構造上どうしてもここまでの取替えが必要なんです。
客:じゃあそれはいいとして、この請求書はなんですか!修理代が8万円ですよ、8万円!こりゃ、高すぎるじゃないですか!
三浦:いいえ、修理料金というのは、ここに書いてありますように、技術料金と交換した部品の代金プラス交通費ということですから、この額でまちがいはございません。
客:それにしても、説明もなしで請