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正文:
旅先で、すばらしい風景や名所旧跡(注1)に出合ったとき、わたしも人なみには感激する。しかし、その感動はながつづきしない。すぐに退屈してしまう。
私の勤務先は巨大な公園のなかにある。歩いて出勤することもおおい。『すばらしい環境のなかを通っての出勤で、うらやましいですな』といわれる。ところが、わたしによって、歩きなれた道は退屈である。緑の自然を楽しむより、街なかの雑踏(注2)を歩くほうがおもしろい。 自然の風景や名所旧跡は静的である。いつ出かけても、おなじ景色にめぐりあえる。背景の自然は季節ごとに変わっても、滝とか、お寺など、風景の主人公はあまり変化しない。そこで、絵はがきがつくられる。
そこへ行ったことのない人へ、自分の感動を伝える手段として、風景や美術品の絵のはがきは発生した。しかし、投函する(注3)ためではなく、個人的コレクションとして、絵はがきを集める人が、案外多いのである。ときどき、ながめたり、人に見せたりして、旅の追体験をし、イメージを固定化するのだ。
絵はがき型の人間にたいして、市場型とでもいうべき人びとがいる。私は市場型人間の典型だ。見知らぬ土地へ出かけたら、観光名所は省略しても、市場へは足をはこぶ。
食文化の研究をしているので、市場は情報源として大切な場所である。市場はその土地の『生きた食物図鑑』である。そんな職業意識をはなれても、市場はおもしろい。売り手と買い手の駆け引き(注4)など、人びとのふるまい(注5)を見ていたら、退屈することはない。市場は『生活のショーウインドー』なのである。
(石毛直道『食べるお仕事』にとる)
(注1)旧跡:歴史上の出来事があった場所や、歴史上の物が残っている所
(注2)雑踏:人がたくさんいて込み合っている所
(注3)投函する:ポストに入れる
(注4)駆け引き:自分に有利になるように相手とやり取りすること
(注5)ふるまい:行動
问题1、その感動はながつづきしないとあるが、それはなぜか。
1筆者は、勤務先の環境がよく、美しい風景を見なれているから
2筆者は、街中の風景が好きで、古いものや自然に興味がないから
3すばらしい風景や名所などは、いつもおなじで変化が感じられないから
4すばらしい風景や名所などは、すでに絵はがきになっていて珍しくないから
问题2、個人的コレクションとして絵はがきを集める目的は何か。
1実際に見て感動した景色などを、そこに行っていない人に送るため
2自分が訪れた場所の季節の変化を、イメージできるようにするため
3訪れた場所の風景や名所などを振り返り、はっきりと記憶に残すため
4旅先で集めたものを保存しておいて、多くの人たちと情報を交換するため
问题3、市場型人間は何のために市場へ行くのか。
1市場で人びとの生き生きとした様子を観察するため
2市場で実際に売られている食物の記録をとるため
3見知らぬ街の市場で珍しいものを見つけるため
4絵はがきのような市場の風景を自分の目で見るため
答案分别选3、3、1。你答对了吗?