人物 :母 智(息子)
場面: こたつにあたりながら
母:智っ、一日中こたつばかりあたってないで、たまにはそとであそびなさい。
智:やだよ——、外は寒いよ。凍え死んじゃうよ。
母:なにいってんの。子供は風の子よ。ほら、さっさといきなさい。
智:ぼく、風の子なんかじゃないよ。お母さんの子だも——ん。だから、さむがりなんだよ。
母:もう、減らず口を叩いて。いったい誰ににたのかしら。
智:お母さんにきまってるだろう?お母さんだって、買物以外は外にでたがらないくせに。
母:お母さんの場合は冷え症だからよ。お前はただの出不精じゃないの。
智:ぼく、出不精じゃないよ。痩せてるから、さむさが骨身にしみるんだよ。
母:全く、口のへらない子ねえ。
智:減ったら、こまるよ。ひとつしかないもん。
母:ああ、もう。ああいえばこういう。智、ちょっとチャンネルを切り換えて。
智:駄目っ。ぼくはこれが見たいんだ。
母:んもう。リモコンはどこよ?貸しなさい。
智:ほら、テレビのうえだよ。こたつを出れば届くよ。
母:智、いい子だから、替りにとってちょうだい。ほら、みかん剥いてあげるから。
智:お母さん、さっきから、ぼくにばっかり出ろ出ろっていうくせに、自分はちゃっかりことつむり。