「要綱」、「要項」、「要領」の使い分け
要綱、要項、要領とも、一般的には、職員が事務処理を進めていく上での指針・基準を定めるものとして、言わば行政機関の内部規程的性格を持っており、これら相互間に実質的差異はありません。
「要綱」の「綱」は、「糸をより合わせて作ったつな」の意から、「規則・法則」、「物事を分類するときの大きな単位」などに用いられ、大切な事柄、基本方針の意味を表します。したがって、「要綱」とは「要約した大綱(大きなあらすじ)」のことで、「重要な事柄をまとめたもの」の意味を表します。
「要項」は、「必要な事項」、「大切な項目」の意味を有し、「募集要項」などとして用いられます。
要綱と要項又は要領の差異を強いて言えば、その指針・基準を大綱的に定める場合には「要綱」を、細目的に定める場合には「要項」又は「要領」を用いるということです。一つの指針・基準を便宜上、段階に分けて定める場合においては、まず大綱的な部分を要綱で定め、細目的な部分を要領で定めるのが通例です。
「ら」、「など」、「等(とう)」の使い分け
「ら」、「など」、「等」は、複数を表す接尾語・助詞としていろいろな語に付けることができ、広く一般に用いられています。
「ら」、「など」、「等」は、いずれも「ある語に添え、例を挙げて示す意を表し、また、その物事に限らず、そのほかにもある意を表します」とされています。
「等」は、本来「とう、など、ら」などいろいろ読まれた字です。常用漢字音訓表によれば、「等」とあれば「トウ」と読み、「など」、「ら」などはすべて仮名で書きます。
なお、「等」を用いた場合は、表現が比較的堅苦しいものと受け取られやすいので、文書の目的に合わせて「等」、「など」、「ら」を使い分けることが必要です。
「5人」と「5名」の違い
「○○人」・「○○名」とも、人の数を表す助数詞です。
「5人」というのと「5名」というのと、実質的な数に差はありませんが、敬意を表す場合、改まった場合などには、「何名様・百名様」などというように、「名」が用いられることが多く、そうでない場合は、「3人組の強盗・5人家族」などのように、「人」を用いる傾向があります。
法律関係では、主として「○○人」を使っている例が多いのですが、必ずしも「○○人」で統一されているわけではありません。
また、新聞では、一般には、「○○人」を用いることが多いようです。
「歳」と「才」のどちらが正しいか
年齢を表す場合に「歳」の代わりに「才」を用いることはかなり広く行われています。漢和字典の類にも年齢を表す「歳」と通じ用いるという意味のことが記載されているものがあるほどです。
その普及度、慣用度からみて、少なくとも便宜的には一応認められるものと思いますが、公用文では、「歳」を用いるのが正しいといえます。
「取扱」と「取扱い」と「取り扱い」の違い
「とりあつかい」のように動詞と動詞が複合して名詞になった語の場合は、内閣告示「送り仮名の付け方」の通則6の本則に従うと、「取り扱い」と書くことになります。しかし、通則6の許容の語として、複合の語のうち活用のない語で読み違えるおそれのない場合は、送り仮名を省くことになっています。したがって、「とりあつかい」については、前の送り仮名「り」を省いて「取扱い」となります。
なお、「取扱所」のように慣用の固定している場合は、送り仮名の付け方通則7により、「取扱い所」としないで送り仮名を省いた「取扱所」となります。
(参考)
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動詞
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名詞
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熟語
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取り扱う
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取扱い
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取扱所
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貸し付ける
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貸付け
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貸付金
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取り消す
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取消し
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取消処分
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申し込む
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申込み
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申込書
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引き継ぐ
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引継ぎ
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引継書
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埋め立てる
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埋立て
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埋立工事
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「ページ」と「頁」のどちらが正しいか
「ページ」と片仮名で書き表します。「頁」は、当て字であって常用漢字表に掲げられていないので使えません。雑誌等で「頁」と使われることが多いせいか、公文書での誤りがよく見られます。
「規定」と「規程」の使い分け
「規定」は、法令の中で、ある事項について、一つの条項として定めること及び定めた内容を指し、「規程」は、法令の一種として、いくつかの条項から成り立っている決まり、すなわち、一まとまりの文章形式を一括して指す言葉として使っています。つまり、一つの「規程」の中には、通常いくつかの「規定」が含まれています。また、「規程」は、名詞としてだけしか使えませんが、「規定」は名詞としても、また、「する」を添えて動詞としても使えます。
「又は」と「または」のどちらが正しいか
昭和21年の当用漢字表の使用上の注意により、接続詞はなるべく仮名で書くことになったため、「また」、「または」と書くようになりました。しかし、「または」については、「又は」と漢字で書くのが、法令表記の慣習であったために食い違いが生じました。そこで、昭和56年の「事務次官等会議申し合わせ」によって公用文では次のように取り扱われるようになりました。次のような接続詞は、原則として、仮名で書きます。
例 おって かつ したがって ただし ついては ところが
ところで また ゆえに
ただし、次の4語は、原則として漢字で書きます。
及び 並びに 又は 若しくは
これにより、法令・公用文では、「また」、「又は」と使い分けしています。