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一级读解学习8
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旅に出るときカメラは一応持っていくけれど、実際に写真を写すことは少ない。 大袈裟な主義主張があるわけではないけれど、わたしにとっては邪魔になることのほうがはるかに多い。その理由はーーカメラを持っていると、どうしても写真がとりたくなる。いや、とりたくなるというより取らなければいけないような義務感が心のなかに生ずる。 ーー「A」--と思って感銘した次の瞬間、 ーー「B」--そんな意識が脳裏に蠢いて、これがわずらわしい。 そればかりではない。いったんシャッターをおしてしまうと、 ーー「C」--といった気分が心を占め、目の前の佳景をしっかりと観賞し、記憶に留めおくという作用がどうしても甘くなる。中途半端にながめて、あとは後日写真ができあがったときに委ねてしまおうという心理が働く。 これがどうも風物を観賞するうえで間違った道のような気がしてならない。 私自身が入江泰吉さんとか浅井慎平さんとか、一流カメラマン並みの撮影技術を持っているのならよいけれど、実力は安いカメラでスナップを写す程度のもの。後でできあがった写真は絵葉書にも①遠く及ばない。結局のところ、景色をろくに見なかったこととさして変わりがない。そんなことなら初めからカメラなど当てにしない方がいい。数年前にそう悟って、以来めったに写真をとらなくなった。 カメラはないとなると、観賞法そのものもおのずと厳しくなる。②余計なことを考えずにすむから、心ゆくまで賞味することができる。 しかも、これから先にのべることは自分でもはっきりと断定できない微妙な心の作用なのだが、カメラがなければめのあたりに見たことをハーフ・メードの形で文章化しておくという仕事も、無意識のうちでやってしまうようだ。 ーーこの風景を小説の中で描写するとしたらどう書くだろうかーー 頭の片すみでそう考え、完全に文章化することまではしないが、なにかしら頭の中に文章に近い形に変えて貯蔵するようになる。 ハーフ・メードというのは、その言葉の語義からいって50パーセントほど製品化することだろうから、わたしの場合はとてもそこまではやらないけれど、10パーセントか20パーセントくらい(③)を自分の表現に変えて脳裏に記録するところがあるようだ。これがあとで小説やエッセイを書くときに役に立つ。 ④こんな作用は一般の人びとにはあまり必要なことではあるまいが、旅先で写真を撮ることにばかり夢中になっている人を見るとーーあんなことで風物をよく観賞することができるのだろうかーーと、不思議に思わないでもない。 注1感銘:深い感動 注2脳裏に蠢く:頭の中で動き出す 注3佳景:いい景色 注4委ねる:任せる 注5入江泰吉、浅井慎平:有名な写真家 注6さいて:それほど 注7心ゆくまで:気が済むまで 問1「A」「B」「C」に入る組み合わせとして、最も適当なものを選びなさい。 1A)いい景色だなあ B)うん、これでいい C)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ 2A)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ B)いい景色だなあ C)うん、これでいい 3A)うん、これでいい B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ C)いい景色だなあ 4A)いい景色だなあ B)ああ、そうだ。写真に写しておかなくちゃあ C)うん、これでいい 問2①「遠く及ばない」とはここではどういうことか。 1)写真も絵葉書も実際の景色のすばらしさにはとてもかなわないこと 2)自分で撮った写真より絵葉書のほうがはるかにすぐれていること 3)自分のカメラでは絵葉書のように遠くの景色がうまく撮れないこと 4)絵葉書よりも自分で撮った写真のほうがずっと価値があること 問3筆者は自分の撮影技術をどのように思っているか。正しいものを選びなさい。 1)カメラなどもつ資格はない。 2)それほど上手だとはいえない。 3)絵葉書の写真程度には写せる。 4)かなり高い撮影技術を持っている。 問4②「余計なこと」とはどのようなことか。 1)景色を十分に味わわなければならないということ 2)景色をしっかり記憶しなければならないということ 3)景色を写真に撮っておかなければならないということ 4)景色を文章で表しておかなければならないということ 問5(③)に入る適当なことばを選びなさい。 1)写した写真 2)頭の片すみの文章 3)眼で見たもの 4)微妙な心の作用 問6④「こんな作用」とはどのようなことか。 1)風景をある程度文章にして記憶すること 2)風景を深く観賞し、記憶に留めること 3)風景をテーマに小説やエッセイを書くこと 4)風景の写真を撮ることに疑問を感じること 問7筆者にとってカメラのない旅の利点は何か。 1)写真の代わりに文章の形で残るので小説などの作品がふやせること 2)無意識のうちにハーフ・メードの文章を書く技術が進歩すること 3)一流カメラマン並みに写真を撮れたかどうか心配しなくてもいいこと 4)風物を十分観賞できるうえに、ある程度文章化して記憶できること 問題Ⅱ次の文章を読んで、後の問に答えなさい。答えは、1,2,3,4から最も適当な者を一つ選びなさい。 仕事のことで、あなたは同僚の村山氏に助けを求めた。村山氏は自分の仕事を犠牲にして、時間もお金も使って助けてくれた。しかし結果は、あなたの窮状をわずかに救ってくれたにすぎない。他方、あなたは小沢氏にも助けを求めた。小沢氏は電話1本で、窮状を救ってくれた。さて、あなたは二人のどちらにより強い恩義を感じるだろうか。 対人心理学では、恩義の強さはコストとあなたが得た利益で決まると考える。 コストとは、相手があなたを助けるために費やした時間やお金、もろもろの犠牲のことである。利益もお金や物とは限らない。地位や名誉、失わずにすんだ面目の場合もあるだろう。 コストや利益が何であるにせよ、恩義はコストが(a)ほど、また利益が(b)ほど、強く感じる。恩義の強さは、コストの量と利益の量の(c)で決まるというのである。 「恩や義理は、日本人の人間関係の根幹にかかわる問題だ。それを①コストだ利益だなどいうのはけしからん」と思う人もいるだろう。(d)、「恩を売ったり」「借りを返したり」、見舞いの半返しをしたり・・・・・・②日本人の人間関係だって意外と計算高い。 そこで、冒頭の話をこう言い換えてみよう。 村山氏の払ってくれたコストが(e)、彼がもたらした利益を(f)とすると村山氏には11の恩義が生じる。小沢氏の支払ったコストは(g)、もたされた利益が(h)とすると小沢氏にも11の恩義が生ずる。同じ値になったとき、実感として、あなたはどちらに強い恩義を感じるだろうかというのが当方の問いだったのである。 この問いに対して、アメリカの心理学者は、小沢氏の方に強い恩義を感じるといっている。結果が重要だということであろう。ところが、日本人を対象として検討したところ、〔i〕という結果が出た。 どうも日本人は、結果もさることながら、助けてくれるために多くのコストを支払ってくれたという事実を重んじて、恩義を感じるようである。 注1 窮状:非常に困った状態 注2 恩義:恩と義理、人から受けた親切に感謝し、いつかお礼をしなければならないと思う気持ち 注3 根幹:基本、基礎 注4 けしからん:許せない 注5 半返し:贈られた金や品物の半額にあたるものを相手に返すこと 注6 当方:私 問1(a)(b)に入る言葉の組み合わせとして正しいのはどれか。 1a)小さい b)大きい 2a)大きい b)小さい 3a)大きい b)大きい 4a)小さい b)小さい 問2(c)に入る最も適当な言葉はどれか。 1)割り算 2)引き算 3)暗算 4)足し算 問3①「コストだ利益だなどという」とあるが、ここではどういうことか。 1)コストや利益はつまらないことだということ 2)コストや利益というような概念で考えること 3)コストや利益ということばの意味を考えること 4)コストと利益のどちらが重要か考えること 問4(d)に入る最も適当な言葉はどれか。 1)だから 2)それに 3)いわゆる 4)しかい 問5②「日本人の人間関係だって意外と計算高い」とあるが、「計算高い」人間関係が存在する社会とはどのような社会か。 1)恩や義理などが計算の対象となりうるものだと考えるような社会 2)恩や義理を売ったり返したりすることで非常に金がかかるような社会 3)計算が得意か不得意かということが人間の評価と関係するような社会 4)自分の金と時間を犠牲にしてでも他人を助けようとするような社会 問6(e)~(h)に入る数字の組み合わせとして正しいのはどれか。 1) e:1 f:10 g:10 h:1 2) e:10 f:1 g:1 h:10 3) e:10 f:1 g:10 h:1 4) e:1 f:10 g:1 h:10 問7〔i〕に入る言い方として最も適当なものはどれか。 1)村山氏にはそれほど恩義を感じない 2)小沢氏にも同じくらい恩義を感じる 3)村山氏の方に強い恩義を感じる 4)小沢氏には恩も義理も感じない 問題Ⅲ次の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。 (1)今日ほど「労働」が見失われている時代はあるまい。働くなかで仕事や人に教えられ、あるいは人と力を合わせて働くこと、また働いた成果で社会と結ばれていることを実感し、それらによって自分の働きの意味と生きていることの意義を確かめられる、そういったことから私たちはしばらく無縁でいる。「労働の喜び」といった表現がひどく古めかしくかんじられるほど、「労働」は私たちの生活から遠ざかっている。 注 無縁:関係がないこと 問「『労働』が見失われている時代」とは、どのような時代か。 1)労働する場が減ってk、失業が増えている時代 2)古くから社会にある仕事が忘れられている時代 3)労働することの意義が実感できなくなった時代 4)個人の楽しい生活を仕事とは分けて考える時代 (2)コンピュータは他の機械とは本質的にちがっている。普通の機械はそれぞれ固有の目的のために作られていて、その他の目的のためには使えない。これに対して、コンピュータは計算をするだけでなく、他のいろいろな機械の働きを模擬することができる。そこでコンピュータは人間の知的活動を模擬することができるのではないかと考えて、これを人工知能研究と名づけ、人間への挑戦が始まった。 注 模擬する(やや特別な使い方):まねをする 問「人間への挑戦」というのは、どのような意味か。 1)人間の能力とどちらが優れているか競争すること 2)機械を支配する人間から自立する戦いをすること 3)人間が持つ知能の働きに近づけようとすること 4)他の機械の働きも入れて人間の能力以上になること (3)「太田さん、変わりませんね」(中略)、四年ぶりにホテルのテールームでお会いした編集者のAさんからそのようにいわれた時、わたしはみた目のことを言われたのだと思って、自然ににっこりした。 「Aさんも、お変わりありませんわ」ダーク・グレイのスマートな背広姿は、四年前と変わりがなかったが、その髪にはいくらか白いものが目立つようになったなと思いながらそういったのである。 「いや、ちょうど十五分、遅刻したところがですよ」Aさんは眼鏡の奥の眼をいたずらっ子の少年のように、わざと大きくしながらわれた。私は、しばらくの間顔を上げることができなかった。 注 ダーク・グレイ:濃い灰色 問1①「変わりませんね」とあるが、Aさんは何が変わらないといったのか。 1)人と会うときは「お変わりありませんね」と言うこと 2)約束の時間にいつもちょうど十五分だけ遅刻するくせ 3)四年前に会ったときの見た目と今回会ったときの見た目 4)人と会うときはいつも外観のことばかり気にするくせ 問2②「しばらくの間顔を上げることができなかった」とあるが、それはなぜか。 1)Aさんのいたずらっ子の少年のような眼がとてもおもしろかったから 2)約束の時間に十五分も遅れたことを恥ずかしいことだと思ったから 3)Aさんのダーク・グレイーの背広姿があまりにスマートに見えたから 4)Aさんが言ったことばを自分が誤解していたことに気がついたから 問題Ⅳ次の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4から一つ選びなさい。 心魅かれる女性にあうと、「この人は何歳だろうか」と考えてしまう自分に気がつく。なぜ年齢に関心を持つのだろうか。女もすてきな男を見たときは、歳をしりたがるのだろうか。 他人と関係するには、自分と相手との年齢の距離を測っておいたほうが都合がいいのだろうか。結婚したいとか、養子にとりたいと思う場合には、年齢は多少考慮の余地があるかもしれない。ビジネスの場合は、とくに日本ではまだ目上・目下という序列の感覚が残っているから、①そういう配慮が必要かもしれない。 けれども、単に好きになった相手の年齢がどうしてひつようなのだろうか。その人がそこにいる、というだけでは、こころが満たされない。人間は、その来歴にかかわる情報が伴なって、はじめて完全な人間と認められるのだろうか。そこが他の動物と違うところなのか、あるいは、ぼくたちが②ゆがんだ文化のなかにいるのか。 先日、東京で一人の中年男性が病死した。五年間いっしょに生活していた女性が、死亡届を出そうとしたら、彼の戸籍抄本も身分証明書も偽物だったという。夫はいったい誰だったのだろうかという疑問が彼女の心を揺り動かす。 決して彼にだまされたとは思わないし、ともに過ごした月日に悔いはないが、それでも夫の正体を突き止めたいという気持ちは強い。出身、経歴、資格、そして年齢と言う情報を抜きにしては、アイデンテテが成り立たないのであろう。 人を見るとすぐ年齢を推測すると言う習慣は、日本の社会にかぎらないが、年齢によって行動様式が規制される文化のなかで育った意識だろうか、「年相応」という考え方は、とくに日本において強いようである。 ぼくたちは、人にあったときに、相手が何歳ぐらいだろうかという見当をつける。そして、その見当があたっているかどうかを確かめたい誘惑にかられる。「若い」とか「老けている」という評価は、戸籍の上の年齢を知った上でなければ下せない。つまり、③)な印象なのである。 日本では、成人してしまえば、それから年を取ることは(a)」であり、それはもう(b)を意味している。小さな字が見えなくなり、すぐつかれるようになり、記憶力も衰えてくる。(a)のイメージはすべてマイナスである。 けれども、最近の研究によると、戸籍上の「暦年年齢」は、実際に仕事をする能力とはあまり関係がないのだそうである。そこで、アメリカでは④「機能年齢」という新しい概念が生まれた。主として労働市場で使われているようだが、これは職務遂行能力を測って決められる年齢なのだ。 (⑤)だから、暦年を基礎とする定年制は、年齢による差別だとして、アメリカでは禁じられるようになったという。日本人も、この十五年間のあいだに、機能年齢がほぼ十歳若返ったようだ。 無論機能年齢が暦年年齢より若い人ばかりとはかぎらない。四十歳でも能力は六十歳なみに落ちているという人もいる。だから、暦年年齢で割り切ると不公平になるのである。 注1序列:身分や年齢を一定の基準で並べた順序 注2来歴:物や人の今までの歴史 注3戸籍:家族の名前、生年月日などを書いた公式の文書 注4抄本:元の書類から一部を写した書類 注5遂行:(仕事を)最後まですること 問1①「そういう配慮」とはどういうことか。 1)異性に会ったときその人の歳を考えること 2)自分と相手がいくつ違うか考えること 3)自分が相手より歳が多いと思わせること 4)年齢の離れている人とは付き合わないこと 問2②「ゆがんだ文化」とは、ここではどういうことか。 1)相手の存在だけで満足できず、年齢などの情報を求める文化 2)どの人も完全な人間だと認めようとしない文化 3)動物と違って、相手のことを理解しようとしない文化 4)年齢などの情報だけで相手を完全に信じてしまう文化 問3(③)に入る適当な言葉を選びなさい。 1)主観的 2)感覚的 3)個別的 4)相対的 問4(a)(b)に入る組み合わせとして正しいのはどれか。 1a)退化 b)能力が衰えること 2a)退化 b)筋力が弱くなること 3a)老化 b)能力が衰えること 4a)老化 b)筋力が弱くなること 問5④「機能年齢」とはどういうことか。 1)体の機能を調べて、どのぐらい正常かという数値で見た年齢のこと 2)能力とは関係のない、まったく新しい概念で考え出した年齢のこと 3)きちんとした仕事がどのくらいできるか、という基準で見た年齢のこと 4)どのぐらい働くとどのぐらい疲れるか、という統計から考えた年齢のこと 問6(⑤)に入る最も適当な文章はどれか。 1)中高年の職業能力は、思ったよりも高く、安定しているので、暦年年齢はむしろ当てにならない。 2)中高年の職業能力は、あまり高くなく、年とともに低下するので、暦年年齢はかなり当てになる。 3)中高年の職業能力は、思ったよりも高いが、かなり不安定なので、暦年年齢を考慮した方がいい。 4)中高年の職業能力は、人によって個人差があるので、暦年年齢を無視しては正しい判断ができない。 問7作者は「年齢」をどのように考えているか。 1)日本では年齢がたいへん重要だが、アメリカではそれほど重要視されていない。 2)日本では年齢を考えた行動を期待されるが、年齢はその人の本当の姿を伝えていない。 3)日本人は年齢を気にするから、アメリカの機能年齢という概念は受け入れられない。 4)日本でもだんだん年齢を重要視しなくなっているので、年齢を気にする必要はない。
正解 問題Ⅰ(1)4 (2)2 (3)2 (4)3 (5)3 (6)1 (7)4 問題Ⅱ(1)3 (2)4 (3)2 (4)4 (5)1 (6)2 (7)3 問題Ⅲ(1)3 (2)3 (3)2 4 問題Ⅳ(1)2 (2)1 (3)4 (4)3 (5)3 (6)1 (7)2
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