孟姜女(3)
孟姜女は悲しみのあまり、三日三晩泣き続けました。すると空が暗くなり雨がふりだしました。風が起こり強く吹き出しました。そして雷鳴が轟いたかと思うと、その轟音と共に孟姜女の目の前の万里の長城が、突然からがらと音を立てて崩れ落ちました。そして崩れたところから、何人もの遺体が現れたのです。孟姜女は目を見張りました。そして思い直すと、狂ったようにその遺体の中に夫の姿を捜し始めました。常人には考えられないまでの気丈さで、多くの死体の中から必死になって夫の遺体を捜しました。そしてとうとう、愛する夫の遺体を発見したのです。長い間脳裏から離れなかった夫との対面でした。
孟姜女は夫の遺体を抱え帰路に着きました。ところが悲しいことに、孟姜女はその途中で亡くなったと伝えられています。
山海関の絶壁から、夫と共に海に身を投げたという説もある。孟姜女が飛び込んだ場所には、お寺が建てられ、孟姜女寺(河北省秦皇島市海関、山海関から五キロほどのところ)と呼ばれてる。小高い山の108段の石段を登ると孟姜女の坐像があり、白い服で心配そうな顔をして海を見つめている。像の上に『万古流芳(=美名を後世に残す)』という文字が掲げられている。両脇には『秦皇安在哉 万里長城築怨 姜女未亡也 千秋片石銘貞(=秦の始皇帝は死して、万里の長城で恨みを築く。孟姜女は未だ死せず、永遠に貞女の名を残す)』という対聯が掛かっている。寺の両側には『海水朝朝朝朝朝朝朝落、浮雲長長長長長長長消』という有名な対聯がある。寺の後ろには人の背丈ほどの『望夫石』と刻まれた岩があり、その岩の頂までに大きな窪みがあって、孟姜女が夫を眺めて踏んだ足跡だと伝えられている。(おわり)
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