あぐらの語源・由来
あぐらとは、両膝を横に開き、足首を組むように座る楽な座り方。
あぐらの「あ」は「あ(足)」、「ぐら」は「くら(座)」のことで、インド北部の都市「アグラ」とは関係ない。「くら(座)」は「高御座(たかみくら)」や「枕(まくら)」の「くら」と同じく、「高く設けられた場所」の意味で、貴族が座る高い座席や腰掛などの道具を「あぐら」と呼んでいたことに由来する。「あぐら」が道具から座り方の意味に転じたのは、江戸時代以降である。古代、「あぐらをかく」「あぐらを組む」といった意味の言葉は、「あぐむ(足組む)」が用いられており、「あぐら」と「あぐむ」が混同され座り方の意味になった。現在、「正座」と呼ばれる座り方が日本での正しい座り方となっているが、茶道が広まる以前はあぐらをかいたり片膝を立てた座り方が正しい座り方で、あぐら(道具)の座り方が「あぐむ」であったことも、この混同に影響していると思われる。