素敵の語源・由来
素敵は、江戸時代後期の江戸で俗的な流行語として、庶民の間で用いられ始めた。
当初は仮名書きが多く、「程度のはなはだしいさま」「並はずれたさま」といった意味で使われていた。
明治頃から現在の意味に限定されるようになり、「素的」という字が当てられるようになった。
大正頃から「素敵」の当て字が見られるようになるが、「素敵」が一般化したのは昭和に入ってからで、それまでは「素的」が多く使われていた。
素敵の語源には、「できすぎ(出来過ぎ)」の倒語「すぎでき」が変化した語とする説と、「すばらしい」の「す」に接尾語の「てき」が付いたものという説がある。
倒語は「すてき」と同じ江戸時代の江戸で流行したものなので、時代的には「できすぎ」の説も考えられるが、「できすぎ」から「すぎでき」といった部分的な倒語であることや、その後更に変化するなど非常に複雑であることから考え難い。
「すてき」が当初は「並はずれたさま」を意味していたことや、のちに「素的」の字が当てられていることから、一見「すばらしい」との関連性もないように見える。
しかし、「すばらしい」は元々「とんでもない」「ひどい」という意味で使われていた言葉で、同じように意味が変化したとすれば「すばらしい」の説は十分に考えられる。
「素敵」の漢字の由来は当て字なので解っていないが、「素敵」の他にも「素適」といった当て字もあることから、「かなわない」という意味が関係していると思われる。
「適わない」は「望みが実現しない」の意味、「敵わない」は「対抗できない」「勝てない」の意味で使われるため、「素晴らし過ぎて敵わない」という意味から「素敵」が使われるようになり、最も使われる当て字になったと考えられる。