お猪口の語源・由来
お猪口とは、日本酒を飲むときや、蕎麦を汁につけるときに用いる陶製の小さな器。口が広く、底がすぼんだ形をしている。
お猪口は、「ちょく(猪口)」が転じた語である。「ちょく」の語源は未詳であるが、ちょっとしたものを表す「ちょく」や、飾り気がないことや安直を表す「ちょく(直)」と考えられる。一般には、お猪口の語源が「鍾(しょう)」の呉音・福建音・朝鮮音「チョング・チョンク(chong)」に由来すると言われている。しかし、「鍾」が器の意味で用いられる場合は、金属で作られた杯や酒壷など重いものを指すことが多く、酒器のみの意味で伝わったとしても、日本では元々本膳料理に用いる小器を「猪口」と言い、それが小形の杯を示すようになったものであるため、「チョング(チョンク)」が変化したというのは、やや考え難い。また、猪の口に形が似ているからとする俗説もあるが、漢字の「猪口」は当て字なので語源ではない。(猪の口と全く関係ないチョコレートに、「猪口冷糖」といった当て字がされた例もある)