どら息子の語源・由来
どら息子とは、怠け者で遊んでばかりいる素行の悪い息子。道楽息子。放蕩(ほうとう)息子。
どら息子の「どら」は、怠惰や道楽、またそのような人を表す言葉として、江戸時代には単独で用いられていた。この「どら」は、なまけることや放蕩することを表す「のら」が強調された語で、「のら」はなまける意味の「のらくら」の「のら」と考えられる。どら息子の「どら」と同じ強調には「のら猫」を「どら猫」という例があり、異なる意味では「のける(退ける)」を「どける」という例もある。どら息子の「どら」の語源には、鐘の「ドラ(銅鑼)」に由来するという説があり、雑学の分野では多く見られる。これは、放蕩息子が遊郭でお金を使い果たすことから、お金を使い果たす意味の「金を尽く」と、ドラを鳴らす意味の「鐘を突く」をかけ、遊郭では「どら息子」と言うようになったというものだが、そのような事実はない。これと似た話が出てくるのは、「なまける」意味で「のら」や「どら」が使われていた時代、「どら」と鐘の「ドラ」をかけ、放蕩息子を「銅鑼を突く」といって洒落たものであり、鐘の「ドラ(銅鑼)」に由来する説は、言葉の発生時期を把握せず、この話の洒落を誤解して生まれたものと思われる。