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鲁迅《狂人日记》(日汉对照)(二)

作者:佚名 文章来源:weilan.com.cn 点击数 更新时间:2015-4-10 21:12:58 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


一晩じゅう睡(ねむ)れない。何事も研究してみるとだんだん解って来る。


彼等は――知県(ちけん)に鞭打たれたことがある。紳士から張手(はりで)を食(くら)ったことがある。小役人から嚊(かかあ)を取られたことがある。また彼等の親達が金貸からとっちめられて無理死(むりじに)をさせられたことがある。その時の顔色でもきのうのようなあんな凄いことはない。


最も奇怪に感じるのは、きのう往来で逢ったあの女だ。彼女は子供をたたいてじっとわたしを見詰(みつ)めている。「叔(おじ)さん、わたしゃお前に二つ三つ咬(か)みついてやらなければ気が済まない」これにはわたしも全くおどかされてしまったが、あの牙ムキ出しの青ッ面(つら)が何だかしらんが皆笑い出した。すると陳老五(ちんろうご)がつかつか進んで来て、わたしをふんづかまえて家(うち)へ連れて行った。家(うち)の者はわたしを見ても知らん振りして書斎に入ると鑰(かぎ)を掛け、まるで鶏鴨(とりがも)のように扱われているが、このことはどうしてもわたしの腑に落ちない。


晚上总是睡不着。凡事须得研究,才会明白。


他们——也有给知县打枷过的,也有给绅士掌过嘴的,也有衙役占了他妻子的,也有老子娘被债主逼死的;他们那时候的脸色,全没有昨天这么怕,也没有这么凶。


最奇怪的是昨天街上的那个女人,打他儿子,嘴里说道,“老子呀!我要咬你几口才出气!”他眼睛却看着我。我出了一惊,遮掩不住;那青面獠牙的一伙人,便都哄笑起来。陈老五赶上前,硬把我拖回家中了。 拖我回家,家里的人都装作不认识我;他们的眼色,也全同别人一样。进了书房,便反扣上门,宛然是关了一只鸡鸭。这一件事,越教我猜不出底细。


四五日前に狼村(おおかみむら)の小作人が不況を告げに来た。彼はわたしの大(おお)アニキと話をしていた。村に一人の大悪人(だいあくにん)があって寄ってたかって打殺(うちころ)してしまったが、中には彼の心臓をえぐり出し、油煎(あぶらい)りにして食べた者がある。そうすると肝が太くなるという話だ。わたしは一言(ひとこと)差出口(さしでぐち)をすると、小作人と大アニキはじろりとわたしを見た。その目付がきのう逢った人達の目付に寸分違いのないことを今知った。


想い出してもぞっとする。彼等は人間を食い馴(な)れているのだからわたしを食わないとも限らない。


見たまえ。……あの女がお前に咬みついてやると言ったのも、大勢の牙ムキ出しの青面(あおつら)の笑も、先日の小作人の話も、どれもこれも皆暗号だ。わたしは彼等の話の中から、そっくりそのままの毒を見出し、そっくりそのままの刀を見出す、彼等の牙は生白(なまじろ)く光って、これこそ本当に人食いの道具だ。


前几天,狼子村的佃户来告荒,对我大哥说,他们村里的一个大恶人,给大家打死了;几个人便挖出他的心肝来,用油煎炒了吃,可以壮壮胆子。我插了一句嘴,佃户和大哥便都看我几眼。今天才晓得他们的眼光,全同外面的那伙人一模一样。


想起来,我从顶上直冷到脚跟。


他们会吃人,就未必不会吃我。


你看那女人“咬你几口”的话,和一伙青面獠牙人的笑,和前天佃户的话,明明是暗号。我看出他话中全是毒,笑中全是刀。他们的牙齿,全是白厉厉的排着,这就是吃人的家伙。


どう考えても乃公は悪人ではないが、古久先生の古帳面に蹶躓(けつまづ)いてからとても六(む)ツかしくなって来た。彼等は何か意見を持っているようだが、わたしは全く推測が出来ない。まして彼等が顔をそむけて乃公を悪人と言い布(ふ)らすんだからサッパリわからない。それで想い出したが、大アニキが乃公に論文を書かせてみたことがある。人物評論でいかなる好人物でもちょっとくさした句があると、彼はすぐに圏点(けんてん)をつける。人の悪口(あくこう)を書くのがいいと思っているので、そういう句があると「翻天妙手(ほんてんみょうしゅ)、衆と同じからず」と誉め立てる。だから乃公には彼等の心が解るはずがない。まして彼等が人を食おうと思う時なんかは。


何(なん)に限らず研究すればだんだんわかって来るもので、昔から人は人をしょっちゅう食べている。わたしもそれを知らないのじゃないがハッキリ覚えていないので歴史を開けてみると、その歴史には年代がなく曲り歪んで、どの紙の上にも「仁道義徳」というような文字が書いてあった。ずっと睡(ねむ)らずに夜中まで見詰めていると、文字の間からようやく文字が見え出して来た。本一ぱいに書き詰めてあるのが「食人」の二字。


このたくさんの文字は小作人が語った四方山(よもやま)の話だ。それが皆ゲラゲラ笑い出し、気味の悪い目付でわたしを見る。


わたしもやっぱり人間だ。彼等はわたしを食いたいと思っている。


照我自己想,虽然不是恶人,自从踹了古家的簿子,可就难说了。他们似乎别有心思,我全猜不出。况且他们一翻脸,便说人是恶人。我还记得大哥教我做论,无论怎样好人,翻他几句,他便打上几个圈;原谅坏人几句,他便说“翻天妙手,与众不同”。我那里猜得到他们的心思,究竟怎样;况且是要吃的时候。


凡事总须研究,才会明白。古来时常吃人,我也还记得,可是不甚清楚。我翻开历史一查,这历史没有年代,歪歪斜斜的每页上都写着“仁义道德”几个字。我横竖睡不着,仔细看了半夜,才从字缝里看出字来,满本都写着“吃人”两个字!


书上写着这许多字,佃户说了这许多话,却都笑吟吟的睁着怪眼睛看我。


我也是人,他们想要吃我了!





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