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鲁迅《明天》(日汉对照)(三)

作者:佚名 文章来源:weilan.com.cn 点击数 更新时间:2015-4-10 21:08:41 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

第一の問題は棺桶である。單四嫂子はまだほかに銀の耳輪と金著(きんき)せの銀|簪(かんざし)を一本持っているので、それを咸亨の番頭さんに渡し、番頭さんが引受人になって、なかば現金、なかば掛で棺桶を一つ買い取ることにした。藍皮阿五は横合いから手を出して「そんなことは一切|乃公(おれ)に任せろ」と言ったが、王九媽は承知せず、「お前にはあした棺桶を舁(かつ)がせてやる」と凹(へこ)まされて、阿五はいやな顔をして「この糞婆め」といったまま口を尖らせて突立っていた。そこで番頭さんがこの役目を引受けて晩になって帰って来た。棺桶はすぐに仕事に掛らせたから夜明け前に出来上って来るとの返辞。


番頭さんが帰って来た時には、世話人の飯は済んでいた。前にも言った通り七時前に晩餐を食うのが魯鎮の慣わしだからだ。衆(みな)は家へ帰って寝てしまったが、阿五はまだ咸亨酒店の櫃台(スタンド)に凭れて酒を飲み、老拱もまたほがらかに唱った。


第一个问题是棺木。单四嫂子还有一副银耳环和一支裹金的银簪,都交给了咸亨的掌柜,托他作一个保,半现半赊的买一具棺木。蓝皮阿五也伸出手来,很愿意自告奋勇;王九妈却不许他,只准他明天抬棺材的差使,阿五骂了一声“老畜生”,怏怏的努了嘴站着。掌柜便自去了;晚上回来,说棺木须得现做,后半夜才成功。


掌柜回来的时候,帮忙的人早吃过饭;因为鲁镇还有些古风,所以不上一更,便都回家睡觉了。只有阿五还靠着咸亨的柜台喝酒,老拱也呜呜的唱。


ちょうどその時單四嫂子は寝台のへりに腰を卸して泣いていた。寶兒は寝台の上に横たわっていた。地上には糸車が静かに立っている。ようやくのことで單四嫂子の涙交りの宣告が終りを告げると、眶(まぶた)の辺が腫れ上がって非常に大きくなっていた。あたりの模様を見ると実に不思議のことである。あったことの凡(すべ)てがあったこととは思えない。どう考えてみても夢としか思えない。凡てが皆(みな)夢だ。あした覚めれば自分は寝床の中にぐっすり睡っていて、寶兒もまた自分の側(そば)にぐっすり睡っている。寶兒が覚めれば一声「媽(マ)」と言って、活きた竜、活きた虎のように跳ね起きて遊びにゆくに違いない。


隣の老拱の歌声はバッタリ歇(や)んで咸亨酒店は灯火(あかり)を消した。單四嫂子は眼を見張っていたが、どうしてもこれがあり得ることとは信ぜられない。鳥が鳴いて東の方が白みそめ、窓の隙間から白かね色の曙の光が射し込んだ。


这时候,单四嫂子坐在床沿上哭着,宝儿在床上躺着,纺车静静的在地上立着。许多工夫,单四嫂子的眼泪宣告完结了,眼睛张得很大,看看四面的情形,觉得奇怪:所有的都是不会有的事。他心里计算:不过是梦罢了,这些事都是梦。明天醒过来,自己好好的睡在床上,宝儿也好好的睡在自己身边。他也醒过来,叫一声“妈”,生龙活虎似的跳去玩了。


老拱的歌声早经寂静,咸亨也熄了灯。单四嫂子张着眼,总不信所有的事。——鸡也叫了;东方渐渐发白,窗缝里透进了银白色的曙光。


白かね色の曙の光はまただんだん緋紅色(ひこうしょく)を現わした。太陽の光は続いて屋根の背を照し、單四嫂子は眼を見張ったままぽかんと坐っていると、門を叩く音がしたので、喫驚(びっくり)して急いで門を開けた。門外には見知らぬ男が、何か重そうなものを背中に背負って、後ろには王九媽が立っていた。


おお、彼は棺桶を舁いで来たのだ。


银白的曙光又渐渐显出绯红,太阳光接着照到屋脊。单四嫂子张着眼,呆呆坐着;听得打门声音,才吃了一吓,跑出去开门。门外一个不认识的人,背了一件东西;后面站着王九妈。


哦,他们背了棺材来了。


半日掛りでようやく棺桶を蓋(ふた)することが出来た。單四嫂子は泣いたり眺めたり、何がどうあろうとも蓋することを承知しない。王九媽達は面倒臭くなり、終いにはむっとして、棺桶の側(そば)から彼女を一思いに引剥がしたから、そのお蔭でようやくどたばたと蓋することが出来た。


しかし單四嫂子は彼女の寶兒に対して実にもう出来るだけのことをし尽して、何の不足もなかった。


きのうは一串の紙銭を焼き、また午前中には四十九巻の大悲呪を焼き、納棺の時にはごく新しい晴れ著(ぎ)を著せ、ふだん好きなおもちゃを添え――泥人形一つ、小さな木碗二つ、ガラス瓶二本――枕辺(まくらべ)に置いた。あとで王九媽が指折り数えて一つ一つ引合せてみたが、何一つ手落ちがなかった。


下半天,棺木才合上盖:因为单四嫂子哭一回,看一回,总不肯死心塌地的盖上;幸亏王九妈等得不耐烦,气愤愤的跑上前,一把拖开他,才七手八脚的盖上了。


但单四嫂子待他的宝儿,实在已经尽了心,再没有什么缺陷。昨天烧过一串纸钱,上午又烧了四十九卷《大悲咒》;收敛的时候,给他穿上顶新的衣裳,平日喜欢的玩意儿,——一个泥人,两个小木碗,两个玻璃瓶,——都放在枕头旁边。后来王九妈掐着指头子细推敲,也终于想不出一些什么缺陷。


この日藍皮阿五は丸一日来なかった。咸亨の番頭さんは單四嫂子のために二人の人夫を雇ってやると、一人が二百と十文大銭で棺桶を舁いで共同墓地へ行って地上に置いた。王九媽はまた煮焚きの手伝いをした。おおよそ手を動かした者と口を動かした者には皆御飯を食べさせた。


太陽が次第に山の端に落ちかからんとする色合いを示すと、飯を食った人達も覚えず家に帰りたい顔色を示した。そして結局皆家に帰った。


單四嫂子はひどく眩暈(めまい)を感じ、一休みすると少しは好くなったが、続いてまた異様なことを感じた。彼女はふだん出遇わないことに出遇った。有り得べきことではないがしかも的確に現れた。想えば想うほど不思議になった。――この部屋がたちまち非常に森(しん)として来た。


这一日里,蓝皮阿五简直整天没有到;咸亨掌柜便替单四嫂子雇了两名脚夫,每名二百另十个大钱,抬棺木到义冢地上安放。王九妈又帮他煮了饭,凡是动过手开过口的人都吃了饭。太阳渐渐显出要落山的颜色;吃过饭的人也不觉都显出要回家的颜色,——于是他们终于都回了家。


单四嫂子很觉得头眩,歇息了一会,倒居然有点平稳了。但他接连着便觉得很异样:遇到了平生没有遇到过的事,不像会有的事,然而的确出现了。他越想越奇,又感到一件异样的事——这屋子忽然太静了。





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