週刊(東洋経済)
絶対ありえないか中国民主化・米中同盟
本年11月、クアナルンプールで第一回アジアサミットが開かれ、東アジア共同体構想についての議論が予定されている。日本は、こうした構想・動きにどう向き合うべきなのだろう。
日本が取るべき道筋について、拓殖大学学長の渡辺利夫氏は本誌8月6-13号で、日本は、Г陸のアジア」(中国、韓国)から距離を置き、Г海のアジア」(asean諸国)及びГ海洋国家」たる米国と共生する道をとるべきと述べている。
Г海のアジア」に反論 aseanが乗ってこない
その要点は①Г反日カード」を使い、日米離反策をとる中国に妥協すべきでなく、政治外交の付き合いは最小限にする、②経済面では、日中両国はウィン・ウィン関係が成り立つので日中ftaを結ぶのは構わないが、③韓国ではГ反外勢ナショナリズム」吹き荒れており、日韓ftaを結べば、Гやけど」をすることになりかねない、④ましてГアジア共同体」ずくりは論外―というものである。
たが、これはあまりにも単純な議論だろう。どこがおかしいか。
一つには、国というもの異なる利害関係者の集まりと見ず、自国の敵か味方に二分して結論を出している点にある。若者までそういう考えに染まってしまったら、日本のあしたはない。日本、この際、ファクツをもっと深く掘り下げ、真の国益を追求する国家的な調査、検討組織をつくるべきだろう。
また、同士は、日本は、asean諸国、米国との3者同盟を結び、中韓と对峙せよと述べるが、そのような提案にasean諸国は賛成するだろう。ノーであろう。
asean諸国は一枚岩ではないが、総括すれば、以下の点でほぼ一致している。
①Гasean10+3(asean10か国と日中韓)」を中轴としてさらなる経済統合・協力体制を整備していくことは望ましい。
②日中は仲たがいせず、東アジアの発展に贡献すべきだ。
③aseanが(東アジアサミット)全体のイニシアティブをとるが、日中韓が個別事案で指導力を発揮することは歓迎する。
④東アジアへの米国のコミットは、とくに安保面で重要だが、すべての事項に米国が関与する必要はない。
東京大の田中明彦教授らが最近行った調査Гアジアバロメーター」によれば、東アジア中、中国より米国が好ましいとした国はフィリピンのみであった。東アジア中、中国のほうが日本より好ましいと回答したのはタイのみであった(ただし、僅差)。
過去、数十年の真摯な付き合いで、日本を信頼し、日本に東アジアでの(覇権なき)指導力を求める国が多いことに日本はもっと、自信を持っていいし、その期待に応えなくてはいけない。日本は、アジアを二分化することによって、結果的孤立する道を選ぶべきでない。
(未完待续)
(稲田大学国際教養学部教授、木下)
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