次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
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芸術は、主として美的感性によって創造されるものといわれるが、真理を究明、発 |
見する学問も、究極的には知的感性のひらめきがなければならないのである。そうし |
た知的感性は認識の積み重ね、視野の広がり、経験と修練によって育成されるもので |
ある。芸術家には若くして大成する人が少なくないのに対して、学者、特に人文科学 |
者が自己の創造する世界を構築するのに相当の年月を要するのはこのためである。し |
かし、そういう相違はあっても、芸術と学問はつくった人とつくられたものとがどこ |
まで人間的に一体となっているかによって、その価値が、寿命が左右されるという点 |
において共通性が認められよう。 |
やや逆説じみるが、この意味では( A )は( B )に近ければ近いほど学問的で |
あり、( C )は( D )に近いほど芸術的であるという言い方も不可能ではないで |
あろう。現に、学問の分野で息長く伝えられてきた古典のほとんどは、その構築、表 |
現において一種の芸術作品を彷彿させるものが多い。 |
それでは、「人間」が内在するこのような学問の創造をめざすのに、最も必要とさ |
れることは何か。 |
私は、問題意識こそ学問の死生を分かつ鍵ではないかと考える。他人からの借りも |
のではない、自己の幅広い経験と知識のなかから芽生え育まれた独自の問題意識があ |
ってこそ、それが核となって、あたかも化学結合のように、あらゆる素材、見聞、思 |
惟がそこに反応し結合して一つの有機的統一体を成す。そして、その蓄積によって、 |
さらに大きな統一体が出来上がっていく過程を経て、何人の追随も許さない磐石の独 |
創的な学問の世界が構築されるものと考える。 |
問題 A~Dの( )にあてはまる最も適当なことばをそれぞれ本文中から抜 |
き出して書きなさい。
答えは次のページに
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